最近、とあるきっかけで一人の熱心なピアノファンの方と接点ができました。
驚いたことに同じ福岡都市圏内にお住まい、小学校のお子さんがいらっしゃる女性ですが、この方は弾くことはもとより楽器としてのピアノに深い関心をお持ちで、さらに知識もきわめて豊富で驚いているところです。
4月に東京に行ったとき、何人もの女性技術者とお会いして、その並々ならぬ実力に舌を巻いたものでしたが、マニアの分野にもこういう方がいらっしゃるのを知り、驚きはさらに倍増しています。
性別でものを言ってはいけない時代ですが、うかうかしていたら男性は本当に置いてけぼりを食らうことになりそうです。
ごく最近もメールのやり取りの中で、イースタインが話題となり、以下のようなメールがサラッと届きました。
これはもうマロニエ君ひとりで読むのはもったいないと判断し、ご了解を得て一部ご紹介します。
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イースタインのGP(250型 200型 O型)を設計された杵淵直知さんの本にも、日本のピアノは日本的発声〜フォルテで喉を詰め、良く言えば日本的なさびみたいなものがある、童謡等の幼児の時代から喉を詰めた固い声を張り上げて歌う音に耳が慣らされてしまう、室内に於いても畳は美しい響きを吸い取り、がらんどうに近い天井も障子も音に旨味を与えるどころか外に逃げてしまう、機械的には世界の一流品に匹敵しながら音だけはどうしてこうなのか、日本民族の生活環境がそうさせるのではないか…等記されてました。
この杵淵さんは幡岩さんに師事しグロトリアンやスタインウェイ工場で技術を学ばれた後に帰国され日本で活躍されたそうですが、54歳の若さで脳溢血で急逝されています。
以前、あるピアノ店の調律師さんに聞いたのですが、調律は息を止めて音を合わせるから酸欠になって血管系の病気になりやすい、周りにもそれで急死した人が数人いるとのことでした。
だから昔は無理して一日4件調律にまわっていたそうですが、今は2件しかしないようにしているそうです。
ピアノが好きであれば、一日ピアノを扱えて羨ましいなぁー等と呑気に考えておりましたが、実はとても大変な仕事なのだと思いました。
長い時間メンテナンスされる技術者の方もいらっしゃると仰ってましたので…素人ながらも少し心配な気もいたします。
杵淵さんの本の中で響板についての記載もありました。
日本は現在(1970年代)エゾ松を使ったピアノは殆ど見当たらない、エゾ松は音に伸びがあり粘りもある。一般的日本人は日本製のものよりもアラスカのスプルースを輸入している、とした方が高級感があって喜ぶ…とのことでした。
響板の乾燥工程も他メーカーの乾燥室を見学したら、最も大切な時間という材料を使わなかったから経年による組織変化等の思いも及ばなかったのであろう、呆気に取られた、干大根と生大根で同じ干したものでも味は全く違うというわかりやすい例えもありました。
やはり音というのはそれまでの過程により良くも悪くも明瞭に反応してくれるのですね。とても興味深いです。
手工芸品が採算度外視になるのも仕方ないかと思いますが、贅沢ですが楽器は手工芸品であってほしいとも思ってしまいます。
イースタインは特に九州は殆ど存在してなさそうですね。
東洋のスタインウェイを目指して作られたとも記されておりました。
日本の高度な技術を戦争の為ではなく平和の為に作られたと聞いて素晴らしいと思いました。
U型はリットミューラーという名のピアノを参考に初のアップライトとして開発したモデル…とありました。工場の宇都宮の地名からUを取ったようです。
B型はブリュートナーのBの頭文字から来ているもので、(チューニングピンの埋め込んである鉄骨部分がくり抜かれ、真鍮製の板を埋め込んでいるのを模倣している)大橋デザインのディアパソンGPに弾いた感じが似ているとのことでした。
アップライトではB型が一番いいみたいですね。
因みにT型というのはB型をベーゼン仕様に設計変更したもの(設計した人の頭文字)だそうです。
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