日ごと週ごとに寒さが身にしみる季節になりました。
歳時記風にいうと四季の移ろいは趣があって好ましいことのようになっていますが、身体には結構しんどくて、変化する季節への適応力が年々落ちてきている現実をいやでも思い知らされます。
これはもちろん自分が歳だということが第一でしょうが、では若い方が屈託なく元気に過ごしているのかというと、意外にそうでもないらしいことは折々に耳にします。
今どきは子供でもストレスを抱え、些細なことで体調を崩し、いちいちたいへんなのが現代人。
そして、熱が下がるようにすっきり回復することもない。
マロニエ君はもともと運動が苦手で元気溌剌というタイプではなかったけれど、それでも昔は体調管理だなんだということを意識することもなく無邪気に過ごせたことを考えると、昨今は生活形態の変化や、時代に流れる固有の空気のようなものの影響なのか、世の中全体が繊弱になっている印象があります。
多くの人がなにかしら心身の問題を抱えており、制約も多く、ごく単純にいって、昔のほうが人は自然でパワフルで生き生きしていたと思ってしまいます。
それでも平均寿命は現在のほうが伸びているのでしょうから、なんだか変ですね。
音楽にも似たところがあって、主観に導かれた大胆な演奏は許容されず、技術は優っているのに生命感がない。
季節の変わり目になると、往来にこだまする救急車の音も、その数はあきらかに増してくるような…。
これからの季節で気をつけるべきはいろいろあり、まず肝心なのは変化に対する充分なイメージというか、いわば覚悟で、その覚悟があるとないとではだいぶ違います。
覚悟といえば、マロニエ君にとって季節の変わり目はよその家などに行くのが危険な季節でもあり、ここにも密かに身構える必要があります。
「密かに」といっても、それをブログに書いているようじゃ始末に負えませんが。
季節の変わり目は、人によって、冷暖房の使い方は思いのほか差がでる季節でもあり、当然自分の家のようなわけにはいかないから、それがマロニエ君にとってはかなりしんどい事態を引き起こします。
夏なら真夏、冬なら真冬のほうがむしろよく、微妙な時期には冷/暖房をなかなか使わない自然派がおられますが、まさか暖房を入れていただけませんか?とも言えず、これが身に堪えます。
危ないのは外より運動量も少ない屋内で、まして人様のお宅に行って上着を取らないのは甚だ非礼だとは思うけれど、非礼でもなんでも寒いものは寒いのであって、それで風邪をひき、悪くすれば肺炎などに発展するよりはいいという究極の選択になります。
肺炎などというと「なにを大げさな!」と思われるかもしれませんが、ささいなことが引き金になることもあり、肺や気管支が弱い人間にはささいなことがおそろしいのです。
そういうわけで、やむなくアウターを着たままになりますが、相手もさるものでそれでこちらの窮状を察してくれる様子もなく、至って平然たる様子だから、それならこっちもこれでいいのかな?と思いつつ、まあできるだけ危険には近づかないに限ります。
スーパーなどで買い物をする際に寒いのは、こちらも気構えもあれば防寒もしているし、なにより売り場を歩きまわるという活動をしているからまだいいけれど、ただ椅子に座って話だけをしていて、身体はいつしか芯の芯まで冷え切ってしまうと、帰宅後はまず間違いなく体調を崩します。
結局、自分の身は自分で守るしかない。
我が家では夏冬の冷暖房は言うに及ばず、その前後もエアコンが途絶えるときというのがほとんどなく、どうかすると昨日まで冷房、今日から暖房というようなことにもなるのも何度もあり、これはいささかやり過ぎだとは思うけれど、そうなるのだからやむを得ない。
自律神経はみだれ、精神的にもかなりのエアコン依存といって差し支えなく、それ自体が問題とは思いつつも、すでに長年このスタイルで生きてきたんだし、もういまさら体質を変えられるわけもないから、このままいくしかないでしょう。
最後に話をむりにピアノに持っていくようですが、季節の変わり目はピアノも心なしかご機嫌ななめで、鳴り方に活気がなくなったり陰を感じたりするし、日によってばらつきを感じたりしますが、しばらくするとまた少しは回復して安定するところなど、まったく人の体調と変わらないなぁと思います。
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