システム

むかしに比べると、購入するCDの数もだいぶ減りましたが、それでも時々は購入しています。
マロニエ君ももはや古い人間になってしまい、いろいろな新しいテクノロジーが台頭してもついていけませんし、その気もありません。
いまどき嵩張るプラスチックケースに入ったCDを積み上げて、そこから聴きたい1枚をとりだして、そのつどプレーヤーに滑りこませるなんて、もはや古色蒼然たるやり方なのかもしれないけれど、自分はこうでなくては音楽を聴く気分と形が整いません。

今回、某大手の音楽専門ネットショップに注文していたCDは、これまで室内楽以外ほとんどきいたことのないボルトキエヴィキのピアノ作品集でした。
8巻からなるバラ売りものですが、それを注文したのが6月の中頃。

一部は在庫がないようで、海外発注をかけてくれているようですが「なかなか手に入らないので今しばらくお待ち下さい」というメールが数回届いていましたが、あるとき「このCDはあいにく取り寄せができません」という旨のメールが届きました。
具体的には5枚は準備出来ているが、残り3枚が入手困難というわけです。

その時点で「準備出来ているものだけでも購入する」か「すべてをキャンセルするのか」を選ばなくてはならず、マロニエ君はあるだけでも聴いてみたいので、5枚だけでも購入するという選択をしました。

で、数日後には送ってくるものと思っていたら、一向に届かず、おかしいなぁ…と思っていたら近隣のコンビニ留めでそれを自分で取りに行くということになっていたようですが、注文から2ヶ月以上経っていることもあって、そんな認識がまったく頭にありませんでした。
このあたりの注意が悪かったのは専らマロニエ君の責任ということになります。

というのも、これまで購入するCDは長いこと自宅に届いていたので、今回もそうだと思い込み、それ以上の注意をしていなかったのです。
すると、ある日「コンビニでの保管期限を過ぎたのでキャンセル扱いとなりました」というメールが届き、この時点でびっくり仰天、はじめてコンビニ受け取りということに気がついたわけです。
保管期限を見ると、メールを目にした時点で期限失効から12時間が過ぎるかどうかというところでした。
あわてて当該のコンビニに電話すると、その荷物はまだお預かりしていますが、おそらく返品扱いになっているので、お渡しできるかどうか不明、詳細の書かれた紙などを持って来ていただけたら処理をやってはみますとのこと。

というわけで、すぐにそのメールをプリントし、部屋着のままコンビニへと飛び込みました。
幸い電話に出た方がおられたので、すぐに店内のなんとかいう名前の端末に向かって操作をしてくださいましたが、やはり自動的に返品処理となった後で、その端末からはどうすることもできないので、購入者とショップの間でやりとりをして欲しいというわけで、こちらの連絡先を残して一旦帰宅することに。
コンビニ側も回収業者には品物を渡さないですむように言ってみますと、とても協力的でした。

ところが、その発送元のネットショップに連絡しようにも、ご多分に漏れず電話番号が書かれておらず、あせりながらパソコンと格闘した末に、ついにカスタマセンターの電話番号なるものを他から突き止めさっそく電話し、事情を説明しました。
内容はすぐに伝わり、今どきなので、これまでの購入履歴などもわかったようで、あれこれ手を打ってくれたようですが、先方が言うにはいったん回収命令が下ったものに撤回の指示はできないことになっているとのこと。
二ヶ月以上も待っていたCDなので、キャンセルする気は毛頭なく購入したい旨を伝えると、結論としては、いったんこのまま品物を送り返し、しかる後にもう一度発送しますので一週間ほどお待ち下さいということで、それで話は決着しました。

もちろん、その間メール連絡などは来ていたのだろうし、それを一字一句見逃さないための注意を怠ったこちらに責任はすべてあるといえばそうなるわけで、店側はやるべきことはキチンとやったということもわかります。
しかし、現実的には毎日見たくもないようなメールが何十通も来るし、重要なものとそうではないものの取捨選択だけでもひと仕事で、こんな結果を招くほど重要なメールとは思わなかったというのが正直なところ。

いずれにしても品物はもうコンビニまで来ているというのに、それをまたどこか遠く(おそらく関東でしょう)まで返送し、再度送り直すとは、システムには適っていても今どきのコストと効率重視の世の中にあって、なんとバカバカしく無駄なことかと思いました。

ショップに落ち度はないし、コンビニも親切で協力的だったし、2ヶ月強も待ったCDだからマロニエ君としてもキャンセルする気などさらさらない。
寝坊でもして飛行機が離陸してしまったというのならともかく、目の前にある荷物を時間切れというだけで受け取ることさえできないなんて、システムというものがそんなにすべての中心でエライのだとすると、なんだかとてもやりきれない気持ちになりました。

メール確認を怠ったマロニエ君が一番の責任者といえばその通りなのですが、人間は忘れることもミスすることもあるし、保管期限から何日も経過していたというならともかくも、まだ目の前にあるというのに、そういう場合のちょっとした融通さえもきかないのは、率直に言わせてもらえばそのシステム構築にも問題があるのではないかと思いました。

システムというのであれば、(少なくとも品物が回収される前なら)操作によって回収を撤回する機能を追加すればいいじゃないかと思いました。
続きを読む