謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

昨年12月、マリア・カラスの本を読んだところ、文中に記されているカラスの初期から黄金期にかけてのオペラを無性に聴きたくなりましたが、持っているものは大した数ではなく、HMVのサイトを見たところ、なんと69枚のBOXセットがありました。
しかも、本来の価格は3万円を超すにもかかわらず、期間限定か何か知らないけれど1万円強(新品)となっており、今を逃してなるものかと慌てふためいて買ってしまいました。
実際に、これまで何度も油断して買い逃したCDがあり、あるときに買わないとダメだという教訓があるのです。
いずれもEMIで正規録音されたものにもかかわらず、一枚あたりおよそ160円ほどですから、ちょっと信じられない買い物です。

数日後、みかん箱ぐらいの段ボールが届き、中を開けると緩衝材に守られるようにして赤の素敵なデザインの大型ボックスが鎮座しており、大量のCDに加えてハードカバーの分厚い本まで付属していて、ページをめくるごとに数多の写真が掲載されており、あらためてカラスの美貌と超弩級のスター性に息を呑みました。
マルタ・アルゲリッチが世に知られ始めた頃、その圧倒的な技巧と美貌から「鍵盤のカラス」と言われたそうですが、それも納得です。

さて、これからはしばらくカラスとのお付き合いが始まりそうですが、数が数なので、他のCDとバランスを取りながら聴き進むことになりそうです。


元日は家でゆっくり過ごすつもりでいたら、友人がイオンモールが開いているらしいと言ってきたので、正月早々イオンモールに行くなんぞなんたる無粋なことか!とも思いましたが、他にこれといって予定もなく、暇つぶしに行ってみることに。

最短のモールではかなりの混雑が予想されたので、自宅から20km以上もある地区をあえて選んで、そちらに向かいました。
ところが、モールに近づくとにわかに道路も混雑が目立ち始め、駐車場に入るだけでも裏ルートを使ったりと一工夫が必要なほどでした。

なんとか運良く車を止めてモール内に踏み入れると思わずゴクリ、かつてここで見たことのない人の群れでごったがえしており、まずこれで怖気づいてしまいました。
とりわけコロナからこちら2年間、人混みというものにもかなり遠ざかった観がありましたし。
とくにお目当ての店があるわけでもなく、とりあえず流れでH&Mに入ってみると、なんとレジに並ぶ人の長蛇の列が尋常なものではなく、これまた見ただけでストレスを感じるほど疲れました。

ウロウロしようにも人人人で、それに圧倒され、気疲れしたので、とりあえずお茶でもしたくなりましたが、そのために距離のあるレストラン街へ人の波をかき分けて行くのも煩わしく、近くのフードコートへ行ってみると、こちらはこちらで空きテーブルを探すだけでももう大変、やっと隅の方にひとつ見つけて腰を下ろしますが、おなじみのミスタードーナツやマクドナルドがこれまたウンザリするような大行列。

その最後尾について、忍耐のあげく麦茶みたいな「コーヒー一杯」を買うだなんてまっぴらごめんなので、立ち去ろうかと思っていると、友人は「マックのアプリある?」というので差し出すと、コーヒーとアップルパイを選んでネットからオーダーし、支払いはそのままPayPayで済ませるという、およそマロニエ君ひとりでは思いもつかないテクニックが展開されました。
すると、なんと店の上部にある電光掲示板に、はやくもスマホ画面に表示された注文番号が反映されています。

よく見ると、レジの右手には商品受け取りのカウンターがあり、わずか前にオーダーしたコーヒーとアップルパイらしきものが早くも準備されたようで、スマホの注文画面を見せると、それらが載ったトレイがあっけなく渡されました。

行列の方を見ると、ほとんど前進しておらず、はじめに見たときの最後尾の人のうしろに二人並んでいるに過ぎないのに、我々のテーブル上にはまぎれもない温かいコーヒーとパイが存在しているのですから、これにはいたく感じ入った次第。

これまで店内飲食でも「ネットで注文」というステッカーがテーブルに貼られていたりして、そうすることにどれほどのメリットがあるのかわからなかったのですが、この大行列を前にして、その迅速な効果をまざまざと見せつけられ感嘆してしまいました。

普通に辛抱強く並んでいる方々がお気の毒のようではあるけれど、申し訳なさと爽快感がない混ぜになった不思議な気分でした。

年頭から誠にくだらない話でしたが、今年もよろしくお付き合いくだされば幸いです。
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