椎間板ヘルニアになって二月半、結果的に3つの病院に行きました。
はじめは、整形の専門病院として定評のある、かなり大きな病院でした。
簡単な問診のあとレントゲンを撮られ、それを見た医師の診察によると骨に異常は見当たらず、腰回りをあちこち押したり、足の反応を見るなどして、これ以上のことはMRIを撮らないとわからないとのこと。
ただし、MRIは予約制で最短でも一週間後のことになるらしい。
この時点で少し軽く考えてしまい、様子を見ることにしてMRIの予約はしませんでした。
しかし処方された薬の効果もなく、それから一週間もしないうちに症状は確実に悪化、MRIの予約をしなかったことを悔いました。
いまさら予約しても、そこからまた一週間以上先の話になるので、とても痛みに耐え切れず、とりあえず別のペインクリニックに行くことに。
ここでもまたレントゲンを撮られたものの、やはり骨には異常はない由、ヘルニアの可能性が大とのことで、その痛みの様子からとりあえずブロック注射を打つことに。
ヘルニアは手術もしくは自然治癒以外には治療方法がないようで、ブロック注射は麻酔で痛みを和らげることを目的とした対症療法です。
打ったあとは、横になったまま安静を命じられ、1時間ほどで看護師さんに促されて立ち上がりますが、はじめは自力では靴も履けず、介添えされてようやく待合室まで移動するほど足腰が立たなくなっていることに、麻酔の威力(と怖さ)を思い知りました。
安静時も15分毎に血圧をチェックしにくるなど、ずいぶん慎重な様子でした。
これを二回続けるも改善の兆しはなく、やがて診察中も椅子に座ることができず立ったままの体勢となり、待ち時間もベッドを借りて横になるなど、あまりの痛がりように医師も口をへの字にして、ついにMRI画像が必要との判断に至りました。
クリニックにはMRIの設備がないため、大きな病院に委託する形になり、外科としては地元では有名な専門病院と連携しているようで、後日そちらへ赴くことになりました。
その病院のほうが自宅から近いこともあり、こんなことなら始めからこっちに行っておけばよかったとやや後悔。
そういうわけで、私は生まれて初めてMRIというものを3つ目の病院で体験することになります。
前開きの着物のようなものに着替えて、長い廊下を指示される部屋に案内されると、中には真っ白の大きな機械が鎮座し、中央には人ひとりが通るような穴があって、細い寝台のようなものが繋がっています。
看護師さんや撮影技師の方が「狭いところは大丈夫ですか?」「閉所恐怖症などと言われたことはありませんか?」「気持ち悪くなったらいつでも言ってください」「具合が悪いときは、このボタンをおしてください!」「では、ごめんなさいねぇ、がんばりましょう!」などとあまりにも繰り返し言われるものだから、そんなに念を押すほど恐ろしいことが始まるのか?と、却って恐怖心を掻き立てられるようでした。
身体が前後左右に厳格に位置決めされ、撮影中動かないように幅広のマジックテープのようなもので左右からがんじがらめに固定され、頭にはヘッドホンが取り付けられて、リラクゼーション音楽のようなものが虚しく響く中、穴の奥へと押し込められて行きます。
撮影開始後、なにより驚いたのはその不快な音の恐怖。
ピコピコどんどんカンカンといった、なんとも不気味な音が盛大に襲いかかり、この音に耐えられずに断念する人もいるとかで、それも納得というほどのイヤな音に攻撃され続けます。
文字通り機械に縛り付けられた体勢で、こんな非日常の音を容赦なく浴びせられながらの30分は、さすがに疲れました。
二日後クリニックに行くと、やはりヘルニアが確認できるとのことで、とくに手術を希望しないのであればブロック注射などをしながら保存療法で行こうということになりました。
ただ、この時点では、そう遠いわけでもないクリニックに通うのさえ痛みでクルマに乗ることさえ難儀していたので、MRIを撮った病院が最寄りでもあることから、紹介状を書いていただいて、こちらに行くことになりました。
診察初日、またしてもレントゲンを撮るというのにはうんざりでしたが、病院としてはこれナシでの診療行為は不可能であろうから、そこで抵抗してもはじまらないしのでしぶしぶ応じましたが、診察室でMRI画像とレントゲンを見ながら医師の口から出た言葉は「典型的なヘルニアだと思います」というのに加えて「骨格はしっかりしておられますね」というお褒めの言葉で、これまで自分の骨格がしっかりしているなどとは考えたこともなかったので、相も変わらぬ痛みの中、ちょっとだけうれしい気持ちになりました。
ヘルニアは早い場合で一ヶ月、おおむね2〜3ヶ月で治るというのが一般的だそうで、私の場合すでに70日ほどを経過しましたが、ここにきてようやくピーク時に比べれば多少は楽になってきて、ともかくも一息ついた感じです。
まだ痛み止めなどの薬は欠かせませんが、このまま少しずつでもいいから、おさまってくれたらいいのですが…。
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