オオカミ少年

イソップ童話の『オオカミ少年』ではありませんが、最近のお天気など災害に連なる報道はあまりにも大げさすぎて、実態との乖離が甚だしく、結果ほとんど信頼性がありません。
台風の時も同様のことを書いたと思いますが、今度は雪に関するものでした。

昨日は、夕方から出かける予定があり、食事も外で済ませることが決まっていました。
同行者もいましたが、その人からの連絡で「ニュース見たらすごいことになっている!」と言われて、こちらもすぐTVのスイッチを入れてみると、夕方のニュースの時間帯ということもあり、各局が今夜から明け方に襲来するであろう寒波と積雪について、繰り返し強い注意喚起をやっていました。

しかも画面は、災害時用のタテヨコに幅広い帯つきのスタイルとなり、エリアの寒波がいかに注意すべきものであるかを連呼しており、映像は県内山間部の一面銀世界のものであったり、東京から出張できている人にインタビューして「東京より博多のほうがぜんぜん寒いです!」といわせたり、タクシー会社ではあわてて冬用のタイヤに交換する映像など、そんなものばかり。
とりわけ山間部などは、この時期ならいつでも雪に覆われているはずですが…。

そして、天気図を示しながら今年最高の寒波です、夜半から明け方にかけて福岡地方では10cmの積雪と見られています、不要不急の外出は控えてください、どうしても外出される場合は冬用のタイヤやチェーンの準備をし、くれぐれも注意してください!等々を何度も繰り返し言いまくっていました。

私もはじめは、最近のTVのお天気ニュースが必要以上に大げさにいうのは十分心得ていたので、「実際は大したことないのでは?」と考えて、そのまま予定決行する気でいました。
しかし、その後も各局の注意喚起の名のもとに危機感を煽る言い方はますますヒートアップして警告となり、映像の中の人々は家路を急ぎ、だんだん「もしや…」という心配が頭をよぎるようになり、勝手に割り引いて行動した結果、もしものことがあったら…という不安も広がってしまいました。
そもそも、絶対に大丈夫などという自信はどこにもありません。
そして、結果的には不安が勝って、キャンセルの都合もつけられたため、この日の外出は直前で断念してしまいました。

もう大丈夫というわけで、さあ、その大雪とやらはどんなものかと興味津々でしたが、何度外を見ても道は普段通りに白く乾いたままで、なんだかいやな予感が。
予定通り外出していたとしても、とっくに帰宅している時間帯となっても状況はまったく変わる様子もなく、このころには「ああ、またやられた!!!」という思いで歯ぎしりしたくなりました。

夜中になると、多少強い風が吹いているようでしたが、それでも雪の気配はなく、あっても風の中に白いものがほんの少し混ざっている程度で、積雪などとは程遠いレベルです。
朝起きたら銀世界か?…とはもうあまり思ってはいなかったけれど、やはりまったくそういう気配はないばかりか、皮肉な感じに青空さえ覗いており、これってなんなんだ!という思いばかりが残りました。

おそらく、災害という最悪の状況を想定して予防に努めることが絶対優先で、そのためには多少の誇張だろうが何だろうが、そのため結果は違っていようとも、それは構わない!というルールがあるような気がします。
しかも、後日、結果に対して訂正するわけではなく、一方的な言いっ放しで終わりです。
夏にも「最大級の台風で、命を守る行動を取ってください」と半ば脅迫的に言われながら、ほとんど樹の枝も揺れなかったこともありました。

そんなに大事をとって誇張も厭わないスタンスのわりには、能登のあんな酷い地震などはまったく予想できなかったわけで、なにがどうなっているのやらわけがわかりません。

むかし聞いた話で、医者はガンではないものをガンと診断する間違いは許されるが、その逆は許されないというのがありましたが、これと同様で、人々の安全の名のもと、本当の正しい情報提供はないがしろにされ、ただ情報発信者側の責任回避のためのアリバイ作りで騒ぎ立てているように思えてなりません。

これによって、予定変更などを余儀なくされ、多大な迷惑を被った人はおびただしいものがあるはずです。
私ももうさすがに懲りて、今後はこのような情報はまともに取り合わない気でいますから、こんな空虚な報道ばかりしてたら『オオカミ少年』のように信じなくなってしまい、それこそが最も恐ろしいことではないかと思います。
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