ピン磨き

新しいピアノ、あるいは弦を交換したピアノで目を引くものに、キラキラと眩しいチューニングピンがあります。
銀色に輝くピンの森は、目にも心地よいもの。

しかし、このピン周りのエリアは掃除がやっかい(というか不可能に近い)で、無数の弦が邪魔をしてなかなか手がつけられないため、どうしても汚れとホコリが年々堆積してしまいます。
そんな汚れなど、ピアノの音や本質には関係ないと言われてしまえばそうかもしれませんが、それでも、やはりきれいであることに越したことはありません。

我が家のグランドは30年ほど前のものですが、チューニングピンのキラキラする輝きはもはや失われ、全体にうっすらくすんでおり、新しいピアノのピンを見ると「わぁ…」となっていました。
そこはもうあきらめていた筈なのに、ボディをきれいにすると、どうしてもそのあたりが気になってくる。
いまさらですが、なんとかしたいという思いがついに抑えられなくなり、少しずつでも挑戦してみようという気になりました。

とはいえ、場所が場所だけにあまりヘンなことをするわけにもいきません。
クルマ磨きの経験から考えたのは、化学雑巾に某クリーナー(ココナッツオイル由来の天然成分による)をほんの少量ですが繊維にうすく染み込ませてからおそるおそる一本ずつ磨いてみることに…。

ところがピン同士の間隔が狭いため、周囲のピンがつねに指先に接触するのが邪魔だし痛いしで、作業がやりにくいといったらありません。
おまけに数が多いから(約230本?)、結構時間もかかってかなり疲れるので、休憩を挟みつつ数回に分けて磨き作業を続けたところ意外ときれいになりました。

サビや変質であればこうはいかないと思いますが、比較的順調に汚れが取り除けたということは、単純な汚れの蓄積だったのだろうと思います。
こんなことならもっと早くやればよかったと思いつつ、やり出すと、次なるターゲットが出てきてまた頭を悩ませます。