納得できない

皆さんは最近の駐車違反の取締の厳しさをご存じでしょうか?

昔は警察官が違反車両を見つけたら、チョークで地面に時間を書いて一定の時間経過をもって「駐車違反」が成立し、はじめて摘発できるというものでした。
しかし、それは昔の話のようです。そこにはもはや「何分以上」というような猶予はなく、時間はまったく無関係となっていたことにびっくり。

すなわち、たとえ1分でもドライバーが車を離れたら、即違反・即検挙という、これはもうほとんど独裁国家並みの強権的摘発だというほかはありません。

というのも、つい先日、知り合いの方が2歳のお子さんを保育園に預けるために、園の前に車をとめてエンジンを切りハザードを出して車を離れたところ、そこへ巡回警官が通りかかり、たちまちキップを切ったのだそうです。
そのお母さんが慌てて戻って「私です、すみません!」といって駈け寄ったものの、その状況や事情は一切考慮されることなく、問答無用で斬りつけるがごとくの摘発だったようです。
今どきこんな無慈悲なことがあるのかと聞いた当初は信じられない気持ちでした。

反則切符によれば、なんと警察官が車輌を確認してからそのお母さんが現れるまでの時間は、わずか2分だそうです。
しかも現場は交通量のある幹線道路でもなく、車の往来も少ない静かな住宅街にある、比較的幅も広めの道だっただけによけいに驚きでした。

昔のような一定時間を経てはじめて違反が成立するという摘発方法がなくなったのは、要するにそれに要する手間や時間がかかるという以外に、マロニエ君には合理的な理由が見出せません。
あまりに憤慨したので警察の交通課に問い合わせをしてみましたが、果たしてその回答は、現在はドライバーが車内に運転免許を持つ者を残さずに車を離れ場合は、「一瞬であっても」放置車両として摘発されるとのことでした。

こちらもそんな馬鹿げた話に唯々諾々と従うほうではないので、精一杯あれこれ反論しましたが、何を言っても向こうは「法律」と盾にとって一歩も譲る気配はなく、これ以上不毛な会話をしてもナンセンスだと悟って、自分で青筋が立つのを感じながら電話を切りました。

警察のほんらいの目的は、犯罪の防止や捜査・摘発でしょうけれど、その根底にある大儀として市民(人々)の安全や財産を守り、安心できる住みよい社会の維持を担っていくことにあると思います。

一時にくらべると、その悪辣な摘発方法が反感を買い、問題視された速度取締の「ねずみ取り」はずいぶん姿を消し、ようやく反省に転じたのかと思いました。しかるに、またしてもこんな汚い取締の仕方をして市民から怒りと反感を抱かれることになったのは驚くばかりです。かたやストーカー事件などでは度重なる訴えにも耳を貸さず、被害者が殺害されるに及んだりと、これでは税金泥棒・罰金泥棒ではないかと思います。

電話に出た担当者は居丈高な口調で、「時間の問題ではないですよ。子供さんであれなんであれ、そういう理由はそちらの言い分です。もしそれで歩行者妨害になって事故が起きたらどうしますか?」などと痴呆症のような理屈を言い立てます。
しかし、ネットの情報によると、郵便局の車輌は摘発対象外であるなど、必ずしも法の下の平等でないことが明らかです。

また、その後聞いたところでは、トラックなど様々な業種の関係車輌は実際はその対象ではないのだそうで、これはどういうことでしょう? 同じ人がたまたま下見などで普通車で現場に行って止めていると、3分でも即キップを切られ、トラックなら安心というのですから、開いた口がふさがりません。

警察が主張するように、本当に歩行者や自転車の保護、あるいは交通の妨害ということであれば、目的がなんであれ、普通車よりトラックなどのほうがよほど危険で迷惑なっことは論を待ちません。おまけに、最近ではこのきわめて冷血で機械的な取締が、民間の業者にまで委託されているというのですから、なんとも嫌な話です。
そうなれば、どんな言い訳をされても、ますます金銭的ノルマの要素は濃厚となるでしょう。市民がその「反則金という名の金銭収奪システム」の犠牲になるなんて、たまったものじゃない。

人を処罰するということは重大なことです。それに際して悪質度の検証を一切せず、十把一絡であまりにも安易に摘発。そうかと思えば、特定の業者車輌などは見逃すという慣習には、社会の汚い一面を見せつけられるようです。