消費税と婚約指輪

消費増税がいよいよ目前に迫りました。

誰しも税金が上がるのは好みませんし、この増税はもともと民主党政権時代に野田さんが熱心に押し進めて決ったことで、安部さんの本心は甚だ不本意であるらしいという説もあります。
この時期の消費税アップは、目下の急務である景気回復基調に水を差すものという見方も強く、専門家の間でも賛否がうごめいていますが、そうはいっても事ここに至って、いまさらじたばたしてもはじまりません。

テレビでは連日のようにそれに関連したニュースをやっているようですが、各局は申し合わせたように、増税前の駆け込み需要、買いだめ、まとめ買いなどに焦点を当てて、いつものようにそういう気分のない人までわいわい煽っているように感じます。
デパートの食料品売り場はじまって以来の「箱買い」なるものまで登場して、箱単位で保存のきく商品が売れているのだそうです。

さて、そんな中で驚くべき話を聞きました。
マロニエ君が直接見たわけではありませんが、家人がたまたま目にしたニュースによれば、デパートなどでは高額商品も増税前に購入という動きがある由で、その中には、今とばかりに婚約指輪を買いにくる若い男性がかなり多いというのが注目されたようでした。

ただこれ、信じられないことに、現在婚約者がいるわけでもない男性が、まだ見ぬ相手との婚約に備えての購入だというのですから、そのセンスにはさすがにでんぐり返りました。

たしかに結婚を視野において、準備しておくものというはあろうかと思います。
経済力さえあれば、将来を見越して土地やマンションを買っておくというのならわかりますし、不動産物件ともなれば金額のケタも違うので、これはまだ理解できます。

でも、婚約指輪の買い置きなんて聞いたこともなく、そもそもマロニエ君世代にはそんな発想すらできません。もし仮にそんなことをしようものなら、語りぐさになるほどの笑い者になるのは必至で、いわば男の沽券にかかわることだと思います。

マロニエ君は今どきの婚約指輪の相場がどれほどかは知りませんでしたから、ネットで「婚約指輪の相場」で検索してみました。すると、だいたい20〜30万、中には30〜40万というのがあって、少数派を除けば、大半が50万円以内のようでした。
仮にその最高の50万円としても、4月以降のアップはたかだか15,000円であって、いま婚約指輪を駆け込み購入するメンズは、つまりその15,000円惜しさに買っているということになります。

これは本当にびっくりでした。そんな事をするぐらいなら、いっそ株でも買って儲けてやろうというほうがまだしも豪快というものです。

そういう次元の金額にねちねちこだわる金銭感覚や価値観を持った男性は、いくら時代が変わったとはいっても、やっぱりモテない奴だと思います。
仮にいつの日かそれを受け取る女性にしてみても、「増税前に買い置きしていた婚約指輪」をもらって、果たしてそれで嬉しいだろうか…と思います。

それっぽっちの金銭に執着する代償に、男としての値打ちをめちゃめちゃ下げていることに、どうして気がつかないのかと不思議でなりません。しかも、自分で見立てられないものだから店員に相談する、あるいは職場の女性などに付き合ってもらって選んでいるというのですから、聞いているほうが悲しくなります。そんな買い物に付き合っている女性も、内心ではかなりその男性を馬鹿にしているんじゃないかと思いますが、女性って「この人は自分の彼じゃない」という明確な前提の上で、そういう親切あそびは案外楽しいのかもしれませんね。

婚約指輪というものは、あくまで気持ちの問題であって、双方が納得すれば無いなら無いですむものだと個人的には思うんですけどねぇ…。