ついに消費税8%がスタートしましたね。
3月の最後の週末は、報道各社はお祭り騒ぎのようにこれを採り上げ、いつものように国民を煽る事にかなりのエネルギーを費やしたのではないかと思われました。
とりわけ関東圏では、連日買いだめや駆け込み需要のための人出が甚だしかったようで、お得意の長蛇の列も随所で発生したようです。
何の店だったか忘れましたが、プラカードを持つ人が立つ、列の最後尾からリポーターが「では行ってみます!」と列の脇を走りますが、映像も早回しになり、右に左に折れ曲がって、何百メートルも先に先頭があったりします。
こうなると2〜3時間の待ち時間なのだそうで、なんでそこまでという思いが募ります。
最後の土日のデパートやスーパーなどの大変な混雑ぶりを取り上げておいて、4月に入ったとたん、今度は閑散としてひとけのない売り場などを対照的に映し出し、増税後は人はまったく寄りつかなくなりましたという切り口です。でも、1日は平日の火曜日でもあり、通常でも土日にくらべたら衣料品売り場などはガランとするのが普通では?と思いました。
こういうマスコミの在り方も、景気回復に水を差す一因ではないかと思います。
ある経済の専門家によれば、「消費税が8%、8%といいますが、8%上がるのではなく、現在より3%増しになるということですから」といっていました。たしかにマスコミの報道は、まるでゼロから8%になるかのごとく錯覚を誘発するような過熱ぶりでしたね。
福岡はごく単純に言うと、何事においても醒めた感性が根っこにある地域で、消費税増税前の騒ぎもそれほどではありませんでした。今年のNHKの大河ドラマが『軍師官兵衛』で、黒田家は関ヶ原以降、福岡を治めた五十二万石の大名ですから、他所なら地元が注目される年だとそれなりに沸くのかもしれませんが、福岡ときたら見事なまでに盛り上がりません。
きっとNHKの目論見も大外れだったことだと思います。
さて消費税ですが、街頭でインタビューすると、もちろん中には「大変です…」「困りますね…」というような標準的な意見もありますが、「上がるのは嫌だけど、そのために買い置きはしませんねぇ。」「いやぁ…べつに。要るものは要るときに買うだけですよ。」といったコメントはいかにも福岡らしくて笑ってしまいます。
ガソリンも値上がり前に給油しようと、関東圏では路上にまで車が列をなしてまで3月中の満タンが大流行だったようですが、その列がまた大変な車の数で驚きました。中にはたった5Lのために列に並んでいるという猛者もいて、開いた口がふさがりません。
ふと思ったのですが、消費税増税はまぎれもなく税の問題であって、つまりお金の問題であるにもかかわらず、もしかすると、これは実はお金じゃない問題ではないだろうか?という疑念が湧いてきました。
家でも買うというならべつですが、日常生活のレベルでそんなことに奔走しても、それでいくら得をするかという数字上の話になれば、10万円使っても3千円です。その3%のために投じる大元の費用、さらにはそのために要する時間や労力など、多くの人的エネルギー消費を伴うことを考えれば、さらにそのメリットは減じられていくのは理です。
3%にこだわるぐらいなら、そもそも買わないのもかなりお得なはずです。
つまり、これはほとんど心理上の現象であり、情緒的な現象ではないかと思います。
「今のうちに買っておく」というのが国民的なコンセンサスになって、まるで消費税アップを控えての「期間限定イベント」のようになってしまったのではと感じます。
正味どれだけ得なのかという検証はそっちのけで、「今しかない」イベントに参加してお祭り気分を楽しんでいるのだと思うと、多少納得がいくような気がしました。