すでに大勢の方がご覧になったと思いますが、兵庫県議会議員の野々村竜太郎氏が、政務活動費から不明朗な支出があることを指摘され、マスコミやテレビカメラを前に、47歳といういわば最も脂ののった男盛りの男性が、ママを探してさまよう幼児のように盛大に号泣したのはちょっとした見ものでした。
マロニエ君はこれを見て唖然としたのはもちろん、すっかりその様子にハマってしまい、何度でも見たくなる爆笑映像が天から降ってきたようでした。
2013年度の「政務活動費」として、なんと195回、約300万円にのぼる日帰り出張の交通費が税金から支出され、提出が義務づけられている領収書やメモは破棄したとのこと。
しかも、その大半が片道100kmほどの温泉への交通費だった由で、その凄まじい頻度は俄には信じられません。特別の予定がなければ、ほぼ毎日のように温泉に行っていたことになり、そもそも県議会議員とは、それほどヒマなのかとも思いましたが、とにかくそのあまりのお馬鹿ぶりには開いた口がふさがりませんでした。
温泉とはそんなにいいものなのか、あるいは温泉以外の行き先があったのか、真相はともかく、いずれにしろまことにチマチマした幼稚な仕事放棄ぶりでもあるし、来る日も来る日もこんなことに時間とエネルギーを注ぎ込むという感覚も尋常ではありませんね。
むろん政務活動費なるものを不正利用したとなれば怪しからぬ事ではあるけれども、ともかくその釈明会見があれだというのは、ただもうおかしいばかりで、腹も立ちませんでした。
というか、お陰で我が家もその話でもちきりで、ずいぶん笑わせてもらいました。
しかも4回の落選の後、5回目にしてようやく当選を果たしたのだそうで、「やっと議員になれたのにぃぃ…」という発言も、さらに幼児的で笑いに拍車がかかります。
いっぽうで、違和感を覚えたのはテレビの番組で、これを「おもしろかった」といったのはマロニエ君が見た限りではタレント風の女性一人だけで、あとはスタジオはもちろん、街の声も含めて、もっぱら不正支出の問題、義務づけられている領収書やメモがないことばかりを難しい顔をして云うだけで、野々村議員のこの常軌を逸した「特別の振る舞い」についてはあまり触れません。
せいぜい触れても、「恥ずかしいですね」「見ているこちらのほうが泣きたくなりますよ」などという真面目くさった言い方をするだけで、どうしてこんなにおもしろいものを素直におもしろいと云わないのかと不思議でなりません。
手当たり次第に道徳家よろしく尤もらしいことを云っておけば間違いないという体質が皮膚の奥まで染み込んでいるのか、あんな映像を笑わないほうがどうかしているとマロニエ君は思うのです。
おそらく外国だったら、大爆笑の渦が湧き起こることだろうと思いますし、泣き顔のTシャツのひとつやふたつ発売されてもおかしくはないでしょう。
社会の不正を追及することは大事ですが、笑うべきときに大いに笑うというのも、健全な社会の在り方として大事なことのような気がします。
日本人というのは、いざという場面でどうしてこうネチッと暗い民族なのかと思ってしまいます。
通常なら、兵庫県議という一地方の問題でしかなかった話を、全国的にはまったく無名の人物が、たったひとり、しかも一回だけの会見で、これだけ全国を注目させたのですから、いずれにしてもタダモノではないようです。