ルールと平等

先日もニュースで言っていましたが、最近はとにかく音楽CDが絶望的に売れないのだそうで、そんな話を聞くと、こちらまで暗い気分になるものです。

むろんこれはポップスなどの最も高い人気と購買力のあるジャンルでの話です。それをなんとかして販売へと結びつけるため、さまざまなイベントと抱き合わせにするなど、業界でも必死の知恵を絞っているのだとか。
もとよりクラシックなど、すでにものの数にも入っていないのでしょう…。

そんな世相の中、マロニエ君はCDだけは良く買うほうだと思いますから、この点だけは業界から頭のひとつも撫でられていいような気がします。購入はネットもしくは店頭の新品が主流で、中古品はよほどでないと買いません。
べつに潔癖性で中古が嫌だというわけでもないのですが、期待するほど安くもないことと、新品のほうがショップの情報や在庫の整理整頓などが洗練されており、要は見やすい探しやすいというのが一番の理由かもしれません。

ところが廃盤になっているCDの場合は、やむを得ずアマゾンやネットオークションで中古品を探すことになります。

最近も欲しいものが廃盤となっていたところ、幸いオークションで見つかり、購入しようと詳細を読むと、2品以上購入すると送料無料になると書かれています。
終了日までにはまだ幾日もあるし、同じ出品者のその他の商品を見てみると、どうやら業者のようで、実に5〜600枚ものCDが出品されています。

これだけあれば欲しいCDはあるだろうと思い、他日あらためて腰を据えて全商品を見てみた結果、まあそれなりに興味を覚えるものがいくつか見つかり、ざっとリストアップすると計9点ほどになりました。

そこで出品者にメールして、これだけの点数をまとめて購入したいと伝えたところ、先方から返事があり、商品は二週間取り置きができるという内容でした。
そうはいっても、9点もの商品をひとつひとつ連日連夜、パソコンの前に張り付いて落札していくのも大変だし、そこまでの気力もないので、できたら一括購入したい意向であることを伝え、検討をお願いしました。

ちなみに数百点の出品に対して、冒頭のごとくCD不況のせいか、入札されているのは数えるほどまばらで、そのほとんどが最低価格もしくはそれに準ずる価格で終了するように見受けられました。
もしマロニエ君が出品者だったらめげてしまうくらいでしたから、感覚的に一括購入はすぐに応じてくれるだろうと、なんとなく思っていたのです。

ところが再び届いた返信には、前置きもなく「オークションのルールにそって、皆さんに平等に参加して頂いております。」とにべもなく書かれており、その情感のひとかけらもないロボットのような反応には唖然としました。
できないならできないで、言葉の選びようもありそうなものだと思います。

とりわけ心外だったのは「ルールにそって、皆さんに平等に」というくだりで、これは購入希望者に対してほとんどお説教です。いきなり相手にこういう物言いをする人というのは、基本のところで何か大きな勘違いをしており、現代はこの手合いが蔓延していると思いました。

こういう人に限って、自分ではルール通りの正しい対処をしているつもりでしょう。
さらには、そちらに同調する人も結構いるはずで、こういう殺伐とした感性の前では人情の機微など一文の値打ちもないのでしょうし、そもそもそういうものの存在すらご存じないと思います。

いっぺんに気分も冷めて、ウォッチリストもすべて白紙撤回しました。