さらば!ことえり

新しいパソコンを使い始めるのは、マロニエ君にとって生活の一部を入れ替えるほどの一大事です。
こう書くと、まるで精神的にパソコンに依存しているようですが、ただ単に苦手だから気が重いわけです。それでももはやこれナシでは済まされないところまで生活全般に浸透しているので是非もないわけです。

それに、こんなくだらないブログ遊びをやっていられるのもパソコンとネットのおかげですし。

パソコンを入れ替える面倒から逃げるため、買ったのに一年間も放置してしまったことはすでに書きましたが、周辺機器、ソフト、保存されたファイルなどが複雑に連動し依存しあっているため、パソコンを新しくするということは、新しいマシンを中心に元の環境を再構築することを意味します。OSの関係で使えないものも出てくるし、とにかく手間暇がかかります。

詳しい方はパッパッとわけもなくやってしまうのでしょうが、この手が甚だ苦手なマロニエ君は何日たっても望むような環境にはなかなか到達できません。そればかりか次から次に不慣れなトラブルやわけのわからない問題が発覚し、その対処に追われることの繰り返しで、まったくバカバカしいエネルギーだと思います。

そればかりでなく、かなり深刻な問題も発生しました。
パソコンが変わったことで眼精疲労というのか、とにかく目が疲れ、パソコンの前に座ると視界がボーっとする、ひどい時には不快感が増して頭痛へと拡大します。見え方自体は前のものより良くなっているはずなのに、なぜそうなるのか不思議でしたが、最近やっとその理由がわかってきました。

以前使っていたのはノート型で画面も狭く感じていたので、今回はデスクトップのiMacにしたところ、むやみに画面が大きく、以前の3倍近くはあろうかという迫力です。
画面が広大になったぶん快適なようですが、自分の視界の大半が液晶画面で占領されることになり、要するに目の逃げ場がなく、これがどうやら疲れの原因らしいということがわかりました。「過ぎたるは…」の喩えのとおりの新たな苦痛が発生です。

さらにストレスに拍車をかけたのが日本語入力システムの「ことえり」で、昔もこれが馴染めないからといって同種のIM(インプットメソッドという由)で定評のあった「ATOK」を知人のススメで使っていました。そういうわけで、ずいぶん久しぶりに接した新しい「ことえり」でしたが、それなりに改良されているだろう…という淡い期待は見事に外れ、その使いにくさときたらあらためて呆れるばかり。
多少のことは割り切って機能だけで乗り切っていく構えでしたが、入力のたびに「ことえり」に介入されることだけはガマンができません。変換のテンポが鈍いうえに、まったく賢くない、入力する側との呼吸感がまったくないなど、これなら昔のワープロでもまだマシだったような感じです。

ことえりのおかげでイライラとミスは倍増し、これではまずいながらも文章になりません。
もはやATOKを買うのは必至となり、そうなると居てもたってもいられずにバージョンなどを調べていると、おや?というブログに遭遇しました。

この世界で仕事をされているプロの方の書き込みで、どうやらATOKを長年愛用してきた方らしいのですが、グーグルによる同種の日本語入力システムが存在するとのこと。しかもすこぶる使い心地が良く、これが世に出てきた日がATOKの命日になったとまで書かれていますから、相当の秀才なんだろうと思いました。

あまつさえ、その秀才が無料でダウンロードできるとあり、半信半疑でインストールしてみると、果たして書かれている通りにすんなり出来ました。
おそるおそる使ってみると、アッと声が出そうになるほどレスポンスはいいし、変換も思い通りにスイスイできるし、こちらの考えを先読みさえしてくれるようで、これは本当に思いがけない嬉しい驚きでした。少なくともマロニエ君が以前使っていた古いATOKの数段上を行くもので、まるで別次元の快適性能がいきなりタダで手に入ったというわけです。

ATOK購入のため、一万数千円の出費を覚悟していたのですが、むろんその必要もなくなりました。
とにかくこの日本語変換システムというのはパソコンを使う上(とくに文字入力)ではなにより大切で、何日も続いていた灰色の空が、あっと言う間に鮮やかな青空へと変わったようです。
ことえりをお使いの方はぜひお試しになられてはどうでしょう。