はじめが肝心

マロニエ君がいまだガラケーユーザーであることは折々に書いてきましたが、バッテリーにまつわることを。

今どきの電子機器は付属のバッテリーを電源として使いますが、とくにケータイにおけるバッテリーは毎日使うものであるだけに、これが消耗してくるのは困りもので、できるだけ寿命を延ばして使いたいところです。

このところケータイのバッテリーの減りが早くなってきたようで、だいぶ使ったことでもあるし、いっそ機種変更でもしようかと思い立ってショップに行ってみました。
予想通り、いまやスマホが主流の時代で、ガラケーはいちおう義務で最低量を作っているだけという感じでした。隅の方に置かれた数種類のそれは、機能の点では数年前のものと比べてもほとんど見るべきものがないようで、ショップの人もすんなり認めています。
「機能的には機種変更の意味があまりないので、もしバッテリーの問題だけでしたら、それを交換されたほうがいいですよ」と言われてしまい、だったらそれでお茶を濁すことにしました。

ショップで聞いたところによれば、バッテリーの寿命のもっとも主なところは「使用期間/時間」よりも「充電回数」なのだそうで、これが概ね500回を過ぎると性能が低下してくるそうです。

以前にも、バッテリーはできるだけ使って空にしてから充電するのが理想的で、少ししか減っていない状態で充電すると、それだけでもバッテリーの性能が落ちるというのは聞いたことがありました。
さらに過充電がバッテリーに負担をかけるのだそうで、充電ランプが消えたらすみやかに本体を充電器から外すこともかなり大きいポイントだそうです。

毎夜、ケータイを充電器に繋いで就寝するというパターンは少なくないと思われますが、これはバッテリーにとって好ましくない使い方の3点セットのようなもので、「充電回数が増える」「あまり減っていないのに充電する」「朝まで充電器に繋がれて過充電になる」を連日繰り返すことで、早々に寿命が来てしまうんだとか。

さて、ネットから新しいバッテリーを注文したところ、バッテリーの製造会社から「発送しました」の連絡とともに、興味深いメールが届きました。
そこには、新しいバッテリーが届いたら以下のことをするのが、バッテリーを長くお使いいただくために望ましいと書かれています。

「バッテリーが到着後、すぐに満充電をし、普通の使用で残量が空になるまで使用、その後、再度満充電。この充放電の繰り返しを3回~5回する。」とありました。

新品を使い始めるにあたり、はじめにこういう使い方をしておくことで、フルに性能を発揮できるよう、機能を躾るということのようです。

クルマにも新車は慣らし運転というのがあったり、新しいブレーキパッドは交換後にかなりの速度からフルブレーキを数回繰り返すことで熱遍歴を与えて、ディスクへの食いつきをよくするというようなやり方がありますが、バッテリーも同じようなものだと勉強になりました。

一説にはピアノ(少なくとも昔の名器など)も製造後の数年をどのような環境で過ごしたかで楽器としての能力が大きく変わるとも言われますし、新しいハンマーなども初期の整音の巧拙が、その後をあるていど決定付けてしまうと云いますから、何事につけてもはじめが肝心なんだとつくづく思います。

考えてみれば人間様だって、幼児期の躾や育った環境がその後の人生を大きく左右するわけですから、なるほどと納得です。
人も機械も、良い環境で過ごしてきたものは健康で幸福なんだという話のように思えました。