夜毎熱中

以前このブログに書いた「CD往来」は今もまだ続いています。

とはいっても、マロニエ君側の環境は、すでに何度も書いた通りパソコンの入れ替えという、いわば「閉店改装」みたいなことになりやむなく中断していました。
少し詳しく言うなら、それらを中断せざるを得ないほどまで、古いパソコンはくたびれ果てて、思い通りに使用できないところまで問題が深刻化しており、もはや否も応もありませんでした。
まずはこれに専心、新しいパソコンが一段落をまってCD往来のための作業はすぐに再開しました。

マロニエ君は昔からクルマの中でも必ずCDを聴きますが、家の外にCDを持ち出すというのは好きではありません。ましてやクルマの中でバラバラなCDをあれこれいじりまわすのは嫌な上に、車内にあれば今度は家で聴けなくなる。それならコピーしてファイルにまとめていたほうが使いやすいし、そうしたほうがオリジナルが傷む危険もないとなれば、これをしない理由がありません。

それに加えてこの半年ほどは音楽マニアの方との「CD往来」という新たな目的もできたので、このところのCD作りにはいつになく拍車がかかっていたところ、そんなさなかでのパソコンの不調となり、やむなくマシンの入れ替えというマロニエ君にとっては上へ下への大騒ぎとなったのです。

それから約一月を経たでしょうか、ようやく新しい環境にも慣れてきて、基本的なパソコン機能が使えることになると、待ってましたとばかりにCD作りを再開させました。

新しいパソコンというのは自分にとっての環境が構築できるまでは、周辺機器やソフトの問題など際限なく不便があるものですが、個別の機能や性能はなるほど従来型より格段に進歩しているのも事実で、ここらは新しくなればやはり嬉しい点でもあります

以前、CD/DVDのドライブはあまりの酷使からこの部分が壊れてしまった経緯があり、その後は外付けのドライブを購入して使っています。これらもむろんOSの関係で新規買い直しとなりましたが、それに要するソフトなど必要なものがそろうと、いよいよCD作りを再開、しかもそれは以前よりさらに熱を帯びたものになりました。

曲や演奏、あるいは使用楽器によって、差し上げる相手はいろいろとかわりますが、新しい環境のもと、いぜんからやってみようと思いつつ実行していなかった「全集」に挑戦することに。
というのは最近しばしば聴くバロック・ヴァイオリンの名手によるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを購入したのですが、なんとこの全集、めったにないほどのクオリティの高い、少なくとも現在の同曲においては最高ランクの演奏だと思われるのに、ライナーノートなどは最低限のものしか添えられておらず、なんと各曲や楽章のトラックの番号など表記が一切ないのには唖然としました。

一枚のCDには5曲前後のソナタが収められていますが、各CDにはソナタの番号とケッヘルしか書かれておらず、曲によって楽章数も異なるので、何番のソナタの第◯楽章が聴きたいと思っても一発でそれを鳴らすことはできないし、ただ漫然と聴いていても、知らない曲だと今どれが鳴っているのかトラック番号から確認することができないわけです。作り手の手抜きもここまできたかという感じです。

そこで、この全集を聴いて欲しい人が数人おられたことと、トラック不記載の問題を自力で解決すべく、全CDを一枚ずつ調べて、それを一覧表にしてまとめるという作業にとりかかりました。それをこれまた今回新調したAdobe Illustratorでデザインして、CDケースのサイズにまとめて、これも一緒にお付けするかたちで差し上げることに。

それと全集というのは大変で、ちょっとでも油断していると整理がつかなくなって、アッと言う間にどれがどれだかわからなくなります。ですから各CDには識別番号のシールをこれまたIllustratorで作り、これらをプリントしたのも新しいプリンターでしたが、操作に習熟せず、印字が不鮮明なものになったのが甚だ心残りでした。

気がつけば、寸暇を惜しんでこのための一連の作業をやっていて、たかだかこんな作業のために毎夜これに没頭し、子供じみた熱を入れてしまったことはいささかやり過ぎというか後悔の念がなくもありません。
ふと「一体自分は何をしているんだ!?」という疑問の声も心の中に去来しましたが、元来こういう作業を丁寧にやっていくのが嫌いな方ではないので、かなりきつかったけれどとにかく完成することができました。

全集はもうこりごりと思っていましたが、終わって1日経ってみると、もう次に挑戦したくてウズウズしてきて、ついにベートーヴェンのピアノソナタを始めたのですから、さすがに自分でも呆れます。
でも、詭弁のようですけれど、何かに熱中するのは楽しいものです。