中古品の地位

過日、リサイクルショップにまつわることを書きましたが、中古品に関しての認識は外国ではかなり異なる面もあるようです。

とはいってみても、すべてはマロニエ君が人から聞きかじった話なので、自分で経験したわけでもなければ、個々の検証ができていることではありませんが…。

ひとくちに外国とっても様々ですが、いちおうヨーロッパということに限定した上での話。
彼我の文化の違いからか、新品と中古品に関しては、相当感性が異なるのは間違いないようです。ヨーロッパはやはり伝統的に物質社会の繁栄以前からの脈々と続く歴史をもっているためか、印象としては、物を道具と割り切り、そこでは中古品もごく普通の選択肢であって、その頂点にいちおう新品もあるにはあるといったイメージなのかもしれません。

もちろん、食品や衣類ではそうとも言えない面が大きいとしても、食器や家具、車や家などは、驚くばかり中古品のオンパレードで、あくまで自分の生活スタイルや機能性・感性に合致し、かつ価格という部分で納得がいったら、本当に必要な物だけを慎ましく購入するようです。

いろいろなものが新たな使い手へと受け継がれていくのは彼らにしてみれば普通のことで、我々日本人のように、見ず知らずの他人が使ったと前歴を忌み嫌うというようなことは、あまりない(ゼロではないかもしれないが)ように見受けられます。
とりわけ食器などに至っては、日本人はどこの誰が使ったかもしれない中古の食器など、それを買って使うなんてことは普通まずないことですが、あちらの人たちはこのあたりもまったくに意に介さないようで、骨董のような趣で普通に使ったりするのには驚かされたことが何度もありました。

さらに家具、車、住居になればなるほど中古は当然の選択肢であって、中古家具!?と驚いたり、当然のように新車/新築を買い求める日本人なんぞは、もしかすると世界の非常識なのかもしれません。
マロニエ君は車やピアノに関してなら、自分が納得のいくものであれば中古でも厭いませんし、場合によっては中古のほうがよほど趣味性を追求できる場合も少なくありません。
ところが、世の中にはどんなに状態のいい、新品に近いようなスタインウェイの出物などがあっても、「中古」というだけで汚れたものであるかのように頑として受け付けず、新品を買ってしまうような人もおられるというのですから、このあたりの日本人の潔癖さときたらまるで昔の貞操観念並ですごいなあと思います。

ヨーロッパあたりでそんなことを言おうものなら、まあいろんな意味で口あんぐりされてしまうような気もします(むろん一握りの大富豪みたいな連中は別格でしょうけど)。

とにかく確かなことは、日本での「中古品」というものは、外国のそれよりも数段「地位が低い」もののようで、車の世界でも「壊れない日本車」の人気は当然としても、ドイツ製高級車なども、日本は中古になると値落ちが激しいから日本に買い付けに来る海外の業者が少なくないということを聞いたことがあります。

ピアノも、日本製の中古ピアノが物凄い勢いで海外に売られていくのが当たり前のようになってしまっていますが、その背景には日本でのピアノ需要の低下があるにせよ、そもそも中古品になるとその価値に見向きもしなくなる日本人の精神的特性も大いに関係しているように思います。

そうはいっても、マロニエ君もやっぱり生活必需品まで中古品を使うなんてできそうにもなく、そのあたりは民族性といえばいささか大げさかもしれませんが、体質的な部分でもあり、難しいなあと自分を含めて思うわけです。