居住地再編?

東京・沖縄を除く全国放送として人気の番組、「そこまで言って委員会NP」は世相を斬る番組の中では筆頭の影響力をもつ位置を確立していると思います。
各界の話題の人物がゲストに呼ばれるのはもちろん、安倍さんも昔からこの番組にはずいぶん顔を出していて、総理になってからも何度か出演されているのは多くの方がご存知のことと思います。

先日のこと、そこで興味深い発言がありました。
一時的に収まったかに思えた東京への一極集中が、ここへきて再燃しているのだそうです。

理由はさまざまのようですが、主なところでいうと、若い世代の人たちが不便なロケーションの一戸建てマイホームより、利便性の高いマンションでの快適生活を好む傾向がここ最近は顕著なのだそうです。
家をもつという情緒に見切りをつけた、より現実的な考え方のあらわれなのかもしれませんね。

さらに、その背景となる要因のひとつとして、地方や郷里に戻ろうにも仕事が無いことから、やむなく都市部での生活を強いられているという社会構造にも理由があるようでした。

これは今や800万戸を突破するという「空き屋問題」にもつながっているであろう現象で、田舎でのんびりといったら語弊があるかもしれませんが、ともかくそれぞれが生まれ育った土地で普通に生活を成り立たせるということが、現実として困難になってきているということも見過ごすことのできない問題であるようです。

小泉さんの時代の「聖域なき構造改革」で提唱された地方の活性化は、ほとんど機能しないまま終わってしまっているのか、都市部とそれ以外との改善の兆しのない二極化は今後どうなっていくのだろうと思います。

あるコメンテイターの話では、東京以外では、福岡・名古屋・仙台の3都市では人口が増加しており、それぞれのエリアでの一極集中現象が起こっているのだそうで、逆に大阪などは減少傾向にあるんだとか。

たしかにマロニエ君のまわりでも、近年はやたらとマンションが増えていることは紛れもない事実です。
古い家や建物は、取り壊され更地になったかと思うと決まってマンションかコンビニになるし、より規模の大きな、昔つくられたビルや体育館やホールなどの施設も惜しげもなく解体され、何が出来るのかと思えば、ほぼ例外なく無味乾燥な見上げるようなマンションになってしまいます。

そんな目で街中を見てみると、まあともかく驚くばかりにマンションが増殖乱立しており、しかも昔のそれに比べると規模が大きく高層化が進み、どれも竣工前に完売などという話を聞きますので(本当かどうか知りませんが)ただただ驚くばかりです。
完成すれば一挙に人が入って生活がはじまり、それでもまだあちこちに大きなマンションが建設中ですから、こんなことがいつまで続くのかと思います。

先日はマロニエ君の音楽の先生から聞いた話ですが、この方のお嬢さんが結婚され、数年前に川崎にマンションを買われたのだそうで、そのマンションというのが川崎の昔の工場地帯がマンション群になり変わったエリアにあるとのことでした。
むろん今時の例にもれず、数十階もある高層マンションばかりで、それがはじめのころ何棟かが立っているだけだったのが、行くたび行くたびにその数が増えて、今では文字通りの林立状態となり、いざ駅に降り立っても、はたしてどこが娘の暮らすマンションなのか、すぐにはわからず迷ってしまってかなわないという話をされていました。

人が大挙して越してくれば、それに付随するスパーやらなにやらの入るモールが作られ、あっちにもこっちにも大きなスポーツジムがあったりして、夜になると仕事帰りに多くの人がジムでせっせとなにかトレーニングをやっているのだそうで、とてもじゃないけどついていけない世界が広がっているという話を聞きました。

日本の人口は減っているというのに、ある地域だけがそんな勢いで人が増えているということは、それと同じ速度であちらこちらの過疎化が進んでいるということでもあり、はてさてこの国のかたちはどんなものになっていくのだろうと思います。