何のためのポイント

先月最後の週末、福岡市の天神にあるタワーレコードの福岡パルコ店に行った折、ポイントや駐車券発行をめぐって甚だ納得できかねる事態に遭遇しました。

そもそもマロニエ君は、さまざまなお店が発行するポイントカードのたぐいが基本的に好きではなく、以前は束のようにあったものの大半を破棄してしまい、現在ではわずか二三枚になっています。
その理由は、本来お客さんをお店に繋ぎ止めるためのサービスであり魅力アップのためのポイント制度であるべきものが、往々にして逆の事態を招くからです。店側に都合の良いルールが一方的に定められ、その運用を巡ってはむしろ高慢な振る舞いとなり、結果、利用する側が不快な思いをする事象が多いことは多くの人達が大なり小なり経験されているのではと思います。

そして、やっぱり起こりました。
そもそも買い物を通じてせっせと貯めたポイントが「失効」することは、それまでのささやかな努力や積み上げが一瞬にして破棄される如くで、有り体に言えば、あたかも恩を仇でかえされるような、突然、なにか逆さまの現象が起こってしまうようないやな感触を覚えます。ポイントカードなんかあったばかりに、却って不愉快な事に直面することになるという、割り切れなさでしょうか。

前々回タワーレコードに行ったとき、ポイントを使おうとすると、新しいシステムなのか「1000ポイント単位」でしか使えないのだそうで、わずかに足りませんでした。1万円買って何ポイント付与されるのかいまだ知りませんが、いずれにしろ1000ポイント貯めるのはそう容易なことではありません。

ところがレシート内に書かれた「失効予定」をみると、5月末日でその1/3ほどがその対象となっています。
ここにひとつ重要な事実があるのですが、福岡パルコ店は昨年の夏ごろから店が閉鎖となり、今年になっても再開の予定さえまったく告げられませんでした。閉鎖から数カ月後には別フロアに、申し訳程度の小さな仮店舗のようなものは出来ましたが、その中のクラシックなんて、どこかの廉価CDシリーズが並んでいるほどの微々たる量で、なんの役にもたちませんでした。

それから年が明け、今年の春になって、福岡パルコの増床と合わせて突如再開されたわけで、一年近くもの間、こちらとしては行きたくても「店がない」という状態に置かれていたわけです。にもかかわらず、そのあたりの事情はポイント失効期日と一切無関係というのですから、これはもう出だしから商道徳にも背くスタンスだと思いました。

店側にしてみれば、このポイントカードは全国のタワーレコード共通のものなので、他店では使用可能である筈という理屈なのかもしれませんが、福岡でいうと近くに代替店舗といえる規模のものはまったく存在せず、せいぜい郊外のモール内の店舗ぐらいですが、とてもではありませんがクラシックの選択肢など無いに等しいものです。

さらに驚きは追加され、これに駐車券のサービス券が絡みました。
福岡パルコ店では、購入額2000円以上で30分、4000円以上で60分のサービス券が出ることを、口頭で質問して「繰り返し確認して」いましたので、この日も駐車券のことも意識しながら4402円の買い物をしました。
ここで1000ポイント達成となり、失効わずか2日前にしてポイントを使うことに。

ところが、清算が終わってみると、差し出された駐車券は30分券が1枚のみでした。
おかしいではないかと質問しますが、レジの若い女性では答えにならず、すぐさま責任者のような男性が出てきましたが、店が定めた規定によって、この日の買い物は1000ポイントが先ず差し引かれ、3402円とみなすことになる由。

専らそのルールを繰り返すだけで、あとは無言、話はまったく噛み合いません。
そこまでルールが厳格なのであれば、駐車券のことを「繰り返し聞いた」ときに、ポイント使用分は含まないという点を併せてはっきり伝えるべきですが、それはいずれの場合にもまったく伝えられませんでした。
にもかかわらず、いよいよそれを発行する段になって、いきなりポイント分は除外となることを告げるのは、あまりに不親切かつ一方的で、もしや消極的カラクリかとさえ疑りたくなります。

いまどきの接客力も応用力もない店員を相手に、レジで抗議するのはみっともないし自分も虚しいので、この場はサッと引き上げましたが、何度反芻してみても納得できませんでした。どう考えても、店の都合のみが優先され、客側の利益や心情はまったく蔑ろにされており、まるで店側が権力を握りそれを上意下達ごとく行使している構図にしか見えません。

べつにきれい事を言うつもりはありませんが、純粋な価格でいうなら、ネットで買うほうが格段に安くもあるし、選択肢に及んでは店頭とは比べ物になりません。それでも、地元にあるCD店を利用することで、ささやかなりとも店の売上に貢献したいという思いがあることも事実で、だからあえて店頭でも購入をしているつもりでした。

むろんマロニエ君ひとりが買う量など、微々たるものかもしれませんが、深刻なCD業界の不況の中にあって、わざわざ店まで足を運んでCDを購入する人を、もう少しは大事にしたらどうかと思います。
「貧すれば鈍する」という言葉があるように、台所事情が苦しいからといってサービスの適用条件を上げるばかりでは、ますます人の足は遠退いていくだけだと思います。