少し前に、沖縄の那覇空港で、離陸待機中の自衛隊のヘリが、ANA機に出された離陸許可を自分達に出されたものと勘違いして離陸。すでに滑走路を走り始めていたANA機がそれに気づいて離陸を中断したものの、その背後に別機が着陸してしまうという重大インシデントとやらが発生しました。
たしかに状況を言葉で並べると危機一髪というような印象もありますが、空港の設置カメラの映像によると、飛び上がった自衛隊のヘリとANA機との間には遙か彼方とても言いたいほど距離があり、もしANA機がそのまま離陸していても、両者が衝突というようなことではなかったように見えました。
もちろん、このような勘違いはあってはならないことですから、より安全確認を徹底しなくてはならないことは当然ですが、それほどの危険が差し迫っていたようには(映像では)見えなかったため、これでこんなに危険が叫ばれるのだとすると、じゃああれはどうなんだろうと?…と、あることを思い出してしまいました。
それはYouTubeでだれでも見ることができますが、飛行機に関する映像の中でも、クロスウインド(横風)の中を旅客機が着陸する映像がいくつもありますが、これはなかなかどうして手に汗握るものです。
とりわけマロニエ君がすごいと思うのは成田空港のそれで、ちょっと信じられないような危ない着陸を、各社各機が次から次にやっている現実には唖然とするばかりで、シロウト目には、その危険度は上記の沖縄空港のニュース以上かも…というのが率直なところです。
そもそも、あれほど方角の定まらない嵐のような強風が吹き荒れるというのは、それだけでもあそこに国際空港を作ったことが適正だったかと思いたくなるほど、それは凄まじいもので、多くの乗客を乗せた大型機が、まるでおもちゃのようにふらふらしながらアプローチしてくるのは、理屈抜きに怖い気がします。
ふつう着陸態勢に入った旅客機は、ほぼキチンと水平状態を保ちながら慎重に高度を下げながら、とりたてて不安もなくきれいにタッチダウンするもので、福岡は市内に空港があることから着陸の光景は子供の頃から見慣れているつもりでしたが、成田のそれは尋常ではないことに見るなり度肝をぬかれました。
撮影された映像にも間断なく叩きつける強風の轟音がバリバリ入っていますが、そんな中をB767、B777、B747、A340、A380などが、まるで模型を使った下手な特撮のように、フラフラと左右に揺れながら近づいてきます。
飛行機の機体は敢えてしなやかな構造に作られているためもあって、強風にさらされた主翼やエンジンなどは、それぞれが小刻みにクニャクニャとしなりまくりながら近づいてきます。
そんな中をパイロットはよほど機体のバランスをとろうとしているのか、大きな旅客機が酔っ払いの千鳥足のように左右に大きく振れながら滑走路に入ります。
車輪が着地するときにも機体の揺れは収まらず、見ていて危ないのなんの。何度かに一度はパイロットが無理だと判断するのか、ゴーアラウンド(着陸のやり直し)となり、あとわずかのところで、再び空高く舞い上がっていきます。
中には同じ機体が何度やっても着陸できず、4回ぐらいトライするものもありますが、あんなの乗っていたら生きた心地はしないでしょうね。
また、着地の最後の瞬間にも容赦なく強風が吹き荒れるので、つい片方の車輪だけ勢い余ってドカンと着地したり、そのまま前輪も着いたり離れたり、中にはあまりにも左右いずれかに傾いた姿勢で着地したため、主翼の翼端やエンジンが、あとわずかで地面に接触するようなものも少なくありません。
中でも最も迫力があるのは世界最大の巨人機であるエアバスA380で、機体が肥満体なぶん、その迫力というか恐ろしさもケタ違いで、ほとんどやけっぱちのような綱渡り着陸は、何度もああもうダメでは?!と思ってしまうほど強烈です。
しかも中には何百人もの乗客が乗っているんですから、少々の衝撃映像より心臓がバクバクします。
ふだんから風が強いことは関東の特徴みたいなものですが、強風のたびにあんなアクロバティックな着陸を日常的にやっているとしたら、果たしてどれだけの人が認識してことだろうかと思います。きっとパイロット仲間ではこの点で成田は有名なのかも知れませんし、さすがに神経をすり減らし、血圧も相当上がってしまうのではないかと思います。
ひとつご紹介しておきますが、YouTubeで「成田 強風」で検索したらいくつも出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=OvVjSToWsWI