酷暑の波紋

毎年同じようなことを書いているようですが、日本の夏の暑さはやはり厳しいです。

それも年々勢力を増していくようで、今年の猛暑といったらありませんでした。現在も終わったわけではないけれど、それでもお盆を境に、少しだけひと息ついたような気がします。

関東では明治以来の観測史上、連日猛暑の記録を更新したとも言っていたし、北海道でさえ35°とか36°という数値が記録されたというのだからもうたまりません。

今年だけのこととも思えず、今後はだいたいこんな感じの夏になるのかと考えるとげんなりします。

暑さのみならずおかしいのは、これまで台風は9月に入ってからのもので、これの心配をする頃には、やがて秋が近づいてくるというものでしたが、今年は2ヶ月前倒しで、梅雨の時期からいくつもの台風が列島をかすめたり横断したりと、やはりどう考えても昔とは気象条件も変わってきているようです。

これと連動しているんだろうなあと思われるのが、外気温度のみならず多湿もそれに伴って厳しいものになっているようで、マロニエ君宅の加湿器は一般の家庭用の中では大きい方なのですが、以前なら2日間で3回ぐらいの頻度で溜まった水を捨てていればよかったものが、今年は毎日確実に2度、どうかすると3度捨てる必要が出てきています。

さらには、以前なら湿度計の数値は50%切ることもちょくちょくありましたが、今年は一度もそれがなく、ずっと50%台に留まり、水を捨て忘れて少しでも除湿機が止まってると、たちまち60%台に突入してしまいます。

これでは、よほどピアノも調子が悪いかというと、実はそれほどでもなく、なんとなく毎日の環境に慣れているのか、そこそこ普通にしてくれているところをみると、やはり湿度の数値だけでなく、変化を最小限に留めて一定していることも大事だということがわかります。
それでもディアパソンはヤマハやカワイより湿度に敏感のようで、終日強い雨というような日にはあきらかに変化しており、良く言えばソフトというか、普段よりいくぶんまろやかになったり元に戻ったりを繰り返しているようです。

さて、高温多湿は楽器のみならず、いいことは差し当たり、ひとつもないようです。
マロニエ君のまわりでも、この気候のせいで体調を崩す人はひとりやふたりではないし、とくに呼吸器系の疾患には悪影響があるようで、ある意味、冬場よりも体調管理にはナーバスにならざるを得ないんだなあと思いました。

機械類も例外ではなく、車の故障なども自他共に相次ぎました。
とくにこの季節でやられるのは電気系統で、エアコンの酷使や渋滞によってエンジンルームは凄まじい熱にさらされ、そこからあれこれのトラブルが発生するようです。
エアコンはじめエンジンの冷却ファンなどの多くの電装品も動きっぱなしとなり、電気の使いすぎでバッテリーがパンクすることも多く、仲間内で立ち往生の話はいくつもありました。
また、強い湿気によって点火系統にも悪影響があり、エンジンがかからないなどの不具合が出るようです。

ある人は早朝の通勤時間に何度もエンストして周囲の顰蹙を買うかと思えば、別の車で真夜中のメインストリートのど真ん中の車線で立ち往生。さらに別の知人は出先でセルモーターが回らなくなり、この炎天下で救援に4時間以上もかかったあげく車載車に乗せてディーラーに運ばれるなど、明日は我が身かと思っていたら、なんと現実に!
マロニエ君のフランス車もこのところかなり大掛かりな整備が完了し、差し当たりこれで一安心かと思っていたら、出先でエンジンがかからないという現象が起こり(そのうちかかる)、これを何度か繰り返すので、すっかりビビってしまい乗るのを止めました。

ほうぼうに意見を求めた結果、どうやらセルモーターの劣化ということらしく、まだなんとかエンジンがかかるうちに自宅ガレージに戻っておかないと、出先で寿命が尽きれば、その手間と苦痛は大変なものになります。
おまけにヘンテコな古いフランス車ともなると、部品ひとつも右から左には手に入りません。

というわけで6月から部品待ちで1ヶ月半おやすみしていた我が愛車は、7月終わりから8月はじめの一週間ほどを走ったのち、ふたたび「運航停止状態」となりました。

むろん今回もあれこれパーツの発注をしてなんとか揃ったものの、今度はメカニックが超多忙の由で、再び動き出せるのはいつになることやら…。
その点じゃ、ピアノは故障なんてまずないし、どこか不具合があっても、それでまったく弾けないなんてことはないわけで、車目線で見れば楽なもんだとつくづく実感した次第。