いまどきだなぁ…と思ったこと。
スーパーに行ってレジで並んでいると、どこからともなく何かを訴えているような男性の声がとぎれとぎれに聞こえてきました。
おさまったかと思うとまた聞こえてくるので、あたりを見回してみると、3列ほど左のレジで、やや高齢とおぼしき男性がレジ係の女性に向かってしきりに何か抗議をしているようでした。
スーパーの喧騒の中なので、内容はまったく聞き取れないのでわかりませんが、どうやら何かに憤慨のご様子で、ずっとその女性に訴えていますが、ときどき頷く程度で、ほとんど対応らしい対応はせずに、手先は商品のバーコードを読み取る作業だけが休みなく続けられています。
強いて言うなら、非常にソフトな方法で無視しているといったほうがいいような感じです。
まわりを見ると、男女あわせて5、6人はいた従業員は皆そのことに気がついているようで、表情は皆平静を装っていますが、どこか固まったような表情で各自作業をしながら成り行きを耳で追っているといった感じでした。
そんな折、マロニエ君も自分の買い物のレジがはじまりましたが、その間もその男性はずっと文句を言っており、ときおりその口調には激しさが加わりました。
そこへ、溜まってきたカゴを回収にきた男性が、作業をしながらレジ係にそっと耳打ちしました。
するとそのレジ係は無言のままちょっとだけ後ろを振り向いて、男性の方へ視線をやりましたが、すぐにまた仕事に復帰。
レジを担当している人はともかく、それ以外の作業をしている人(とくに男性)は、ちょっと向こうの対応の加勢に行ってやったらどうかと思うのですが、しだいに激しい口調で文句を言われる女性のレジ係はというと、たったひとりで硬直した表情のまま、仕事の手だけが動いています。
抗議している男性は、その態度がまた気に入らないようで、何を言っても暖簾に腕押し状態であることがさらに怒りを増幅させるのか、怒りはいよいよ募っているようです。
このころになると周辺の人達はお客さんも、みんなそのただならぬ様子に気がついていたようですが、周囲の店員たちはまったく助け舟を出そうともしないのは、ある意味怒っている男性以上に異様な感じがして、これは何なのかと思いました。
今どきですから、あるいは男性客のほうが理不尽なクレームをつけているという可能性もあるでしょう。
言葉の内容が聞き取れないので、そのあたりのことはわかりませんが、仮に無茶な主張だとしても、近くでレジ以外の作業している男性などはちょっと割って入って収めてやったらどうかというのが率直な印象でした。
それでも、その男性は憤慨しながらも一定の買い物をして、レジを押し出され、次のお客の精算が始まったことでいちおう幕引きとなったようでした。
こんなことを書いちゃいけないかもしれませんが、もともとマロニエ君は根が不真面目で物見高いので、こういうトラブル事に野次馬として行きあわせるのは嫌いではありません。内心「もっとやれ!」ぐらいに思ってもすぐに収まってガッカリなんてこともしばしばです。一度など、とある店舗内で、若い男女のカップルが大ゲンカとなり、とりわけ女性が男性に猛烈な罵詈雑言をあびせて、男のほうがタジタジという場面に遭遇した時など、もう面白くて、できるだけいつまでも聞いていたいと思ったほどです。
そんなマロニエ君ですが、この光景はまるで後味がよくありませんでした。
おそらく店内の規定があって、そういう場合の取り決めもあり、それに沿った対応だったのかもしれませんが、なんであそこまでレジの女性を見捨てて、ひとりの応援も出て行かないのか、まったく不可解でした。
男性にしてみても、衆目の中でだれからも相手にされず、ただひとり恥をかいたという事実が残るのみ。
あれが今どきよくいわれる「オトナの対応」なのかと思うと、大いに首をひねるばかりです。