本質はいずこ

世の中、ちょっとおかしいのではと思わざるを得ないことは枚挙に暇がないほどですが、先ごろもYahoo!ニュースで目にした記事は、その違和感という点でとりわけ強烈なものでした。

「タダで食べ放題の相席居酒屋で、毎日ご飯を食べていたら退店させられた。ネットの掲示板で、大食い女性の投稿が話題となった。」という文章でそれは始まります。

全部コピペするわけにもいかないので、マロニエ君なりに概要をまとめると、次の通り。

見知らぬ男女が同席する「相席居酒屋」では、男性が飲食代を支払い、女性はタダというところが多いのだそうで、ここからして初めてそんなものがあることを知りました。
投稿者である女子学生は、食費を浮かすため相席居酒屋に通っていて、なんと「一日4食がアベレージ」「ご飯は2、3升におかず数キロ」を食べていたというのです。
さらに同じ系列のお店に、店舗を変えながらほぼ毎日通っていたところ、ごはんをおかわりしようとしたタイミングで、店長らしき人から「申し訳ありませんが、退店してほしい」と言われたというもので、その女性はネット掲示板に事の顛末を投稿することになったというもの。

すると、この件に関して質問を受けた消費者問題に詳しい弁護士というのが、法的な観点から退店を要求したことが正しいか否か、コメントしているというものですが、それによれば、
「飲食店は、客を選べないわけではありませんが、これは入店時においての話です。」
「いったん受け入れた客については、無条件に退店させることができるわけではなく、契約内容がどのようなものだったかによります。」
「通常は、食べ放題・飲み放題の契約として受け入れたのであれば、予想以上に食べる人だったからといって、飲食を拒否することは許されません。」
「ただし、前もって、そのような条件がお客側に示されていたような場合は、別に考える余地があります」

などと、読んでいてばかばかしいような文言が並んでいました。
まだありますが、延々と引用しても意味ないでしょう。

まあ、弁護士という法律のプロの観点からみれば、そういう事になるのかもしれませんが、問題はそんなことはどうでもいいということでしょう。そもそもこういう非常識かつ厚顔無恥な女性が非難されずに、退店を願い出た店側ばかりが問題視されるのは、普通の感覚をもった人なら誰だっておかしいと感じるのではないでしょうか。

こういう場合も「普通の感覚をもった人」って誰のこと? 普通ってなに? 誰が決めるの?
といった類のことを言うような人がいますが、こういう場合にそういうことをいちいち言う人間が、正に普通ではない感覚の持ち主だとマロニエ君は思うわけです。

この女性、食費を浮かすためとはいえ、店のシステムにつけこんで飲食代を支払う赤の他人である男性達と店の両者にたかり行為を繰り返し、食べ放題であることを理由に連日連夜この店に通いつめて「ご飯は2、3升におかず数キロ」などとは、社会に巣食う病原菌のようなものだと思います。

こんな人間の振る舞いが、さほど非難されることもなく、あまさかさまに「女性は飲み放題、食べ放題をうたっているにもかかわらず、客が食べすぎているという理由で、店側が一方的に退店を求めることはできるのだろうか。」というような理由で弁護士に問い合わせをするというところが、社会の感性がまともな平衡感覚を保てなくなっている証ではないかと思います。

一度や二度ならともかく、これほどの「悪質な常習犯」ともなれば、顔を覚えられブラックリストに載るのも当然です。店は難民受入所ではないのであって、あれこれのアイデアを講じながら厳しい商売をやっているのですから、これはいわばルールを悪用した限りなくドロボウに近い行為ともいえるのではないかと思います。
そんな人間はつまみ出されるのが当然で、それはルールや法律家云々の以前の問題でしょう。

いっぽう、ルールやシステムにさえ適っていれば何をしてもいいという風潮はエスカレートしていくばかりで、ルールの盲点や死角に着目できる人間は、まるで優秀でエライかのような取り扱いにも問題があるように思います。

法律はじめ、個別のルールやシステムももちろん大事ですが、それ以前の人間としての品位を保てる教育環境こそが大事だと思います。恥を失った人間というのは、怖いものがないぶん恐ろしいですね。