機種変更のつもりが

マロニエ君がスマホを避けて、未だにガラケーユーザーであることは折にふれて書いてきたよう記憶しています。

スマホそのものを否定しているわけではないし、便利な点ももちろん多かろうと思いますが、なにしろ、世の中どこもかしこもスマホをいじりまわす人々であふれかえり、その機能を云々するより先に、あの光景とスタイルが嫌になってしまったのが正直なところでした。

信号停車中、よく見るバス停などはいつ何時でも、待っている人達の2/3ぐらいはほぼ間違いなくスマホをいじっているし、とにかく、ありとあらゆる場所で、なにがそんなに緊急なのか、楽しいのか、必要なのか、暇つぶしなのか、ただ触りたいのか、そうしないと落ち着かない依存症なのか、理由はよくわからないけれども、目にする人間がみなあの姿形になっているのがうんざりなのです。

だいいち電話するには二つ折りのガラケーのほうが機能的であるし、ポケットに入れるにも、どうもあの中途半端なサイズのスマホは向かないようで、そういう使い方はできない気もします。

それと、マロニエ君は必要とあらば日中でもパソコンが使える環境にあるので、わざわざケータイ端末をパソコン化する必要もさほどなかったということもあるでしょう。要するに自分の日常の中で、とくにスマホが必要という差し迫った事情もないことがガラケーを使い続ける最大の理由だったかもしれません。

ところが、使い慣れたガラケーも5年も経つとバッテリーの寿命が短くなるようで、とくにここ1年ほどは、何回バッテリーを新品に替えてもひと月もすると目に見えて充電が保たなくなりました。
正しくいうとバッテリーの寿命というより、機械自体の電力消費が激しくなるということかもしれません。

それでとうとう機種変更すべく、ショップにいくことに。

予想していたことではあれども、ラインナップの大半はスマホが当然のように陣取っており、ガラケーの展示品は無いのかと思ったら、かろうじて隅の方の一角に申し訳程度に数種類があるのみで、その肩身の狭さは思わず笑ってしまいます。昔にくらべると選択肢も遥かに少く、そのぶん選ぶのは楽になったという印象。

ショップの店員さんも、さりげなくスマホにする意向はないのか聞いてはきたけれど、決して強くすすめてくるようなことはなく、ガラケーユーザーにはそれなりの信念があると理解しているようでもありました。
ただ、あれこれの話の中から、ガラケー+タブレット端末という組み合わせもあるということを知りました。

だいたい、スマホのあの小さな画面をちょこまかいじると思っただけでうんざりしていたマロニエ君は、その3~4倍ぐらいありそうなタブレットならいくぶん楽だろうと思ったし、料金も、この2台の組み合わせでもスマホ1台より若干安いというので、ここでちょっと「ふーん…」とは思いました。

たしかに出先などで、ちょっと調べ物とか情報を取りたいなどの場合、スマホがあればこういうときいいだろうなぁと思うことが、めったにはないけれど、ごくたまにあることも事実。
そういうわけで、マロニエ君としてはケータイが従来通りのガラケーで、タブレットと使い分けが可能という点でちょっとだけ心が揺らいでしまいました。

決定的だったのは、じゃあ見るだけ見てみようかというわけでタブレットを見せてもらうと、なんとそれはiPadで、昔からのMacユーザーでアップル製品に弱いマロニエ君としては、この時点でかなりその気になってしまったのは、自分でもまったく思いがけない展開でした。

あのアップルマークを見ると、なんだか急に欲しいような気分が湧き上がってきて、ついにはこれを契約してしまうことになりました。店員さんに確認したところ、スマホとタブレットの違いはというと、たったひとつ「電話をする機能」なのだそうで、それ以外はなんらスマホと遜色ないのだそうです。

というわけで、自分でも甚だ意外なことでしたが、ガラケーの機種変更をするつもりが、なんのことはない帰りはしっかりiPadをお持ち帰りという次第になってしまいました。