九州に一号店がオープンしたというホームセンターの「カインズ」に立ち寄ってみました。
関東エリアなど、数えきれないほどの店舗があるようなので本州の方はいまさらでしょうが、九州はこの春ようやくにして初上陸となったようです。
オープン前から、テレビの地元ニュースではカインズのオープンをやたら大々的に取り扱っていたので、ホームセンターの名前などいちいち知らないマロニエ君としては、よほど目新しい店がやってくるのかと思っていました。
…というか、そういう番組の取り上げ方にのせられて「思わされていた」というほうが正確でしょう。
何度もイメージを植え付けられたのが、カインズはただのホームセンターにあらず、独自の開発商品が多くて、センスがあってオシャレで実用的で、これまでのホームセンターの常識をくつがえすようなとてつもないもののようにレポーターなどはわぁわぁ喋りまくっていたものです。
さらに、オープン直前にはやれ報道陣に先行披露があったり、知人が見たというテレビニュースによると、ついには社長だかCEOだか肩書はしらないけれど、この会社の総帥らしき人物がわざわざ福岡入りして、まるでアップルのスティーブ・ジョブズばりの演出でこの九州初オープンについての意義や説明を高らかにぶったというのですから、ずいぶん御大層なことのようでした。
どんなにすごいのかは知らないけれど、ホームセンターというのは要するに、洗剤だのトイレットペーパーだの日用品を売るところじゃないの?と首をひねるのがせいぜいでした。
まあ、別に関心もなかったので、正確にいつオープンしたのかも知りませんでしたが、過日たまたまその近くを通過することになり、平日だったのでそれほど混んではいないだろうと思って、ためしに覗いてみることに…。
覗くぶんマロニエ君もつまりはのせられているわけで、自分でバカだなあとは思いますけど。
駐車場入口に近づくと、車の流れが悪くなり、先を見やると3人ほどの警備員が車の出入りを1台1台必死になって誘導しているらしく、春休みでもあるしこれはやはり人が多くてとてもじゃないのかもと思いましたが、少しずつなんとか車は進み、手招きの方向にハンドルを切ると屋上駐車場に誘導されました。
ところが、屋上駐車場に行くと、車は全体の半分ぐらいしか止まっておらず、あっけなくパーキングを終えました。
エレベーターホールに向かうと、買い物を済ませた人達が向こうから歩いてきますが、その荷物はというとまったくのホームセンターのそれで、なにか特別な感じを受けることはありませんでした。
エレベーターを降りて店内に入ると、まず「あれっ?」と思ったのは店内の広さで、マロニエ君の勝手な想像(ニュースなどで見たイメージ)の半分ぐらいしかない感じでした。
というのも、正面のそう遠くない場所に「むこうの壁」があり、それで売り場の広さというのがおおよそわかりますが、それは予想に反してかなり小ぶりなもので、はじめはその壁の向うにさらなる売り場が広がっているのかと思ったほどです。
しかし、結果的に売り場の奥行きはやはりそこまでで、たとえば今どきのIKEAやイオンモールのような、バカバカしいような広さに慣れてしまっている目には、ずいぶんコンパクトというかむしろ手狭に感じたし、並べられている商品もフツーにホームセンターのそれで、オープン前のあの鳴り物入りの大騒ぎ、とりわけテレビ関係の取材ときたら、ずいぶんと度を越したものだったよう思わざるをえません。
カインズオリジナル商品というのもところどころで見たことは見たけれど、べつにどうといこともなく、どれひとつとってもそんなに大騒ぎするようなものはひとつも見あたりませんでした。
もちろん、ザーッと店内を歩いただけなので、細かいことまではわかりませんが、おおまかな店の雰囲気や商品構成など、全体の調子というのは大体つかめるわけで、特筆大書するようなものはマロニエ君はなにもなかったという印象で、あまりに普通に要るものだけを買ってお店を後にしました。
煽るだけ煽ってあとの責任はまったくとらないマスコミの罪は大きさを、こんなところでも思い知らされた気分で、ま、あたりまえですが、要するにごく普通にあるホームセンターの中のひとつだということ以外、なにもありませんでした。
数あるホームセンターでも、店名が違えばそれぞれちょっとした個性の違いぐらいはあるわけで、カインズの個性もその枠を飛び出すほどのものではなく、とくだん突出したものは感じませんでした。
個人的には、あまりいろいろな商品をまんべんなく並べるよりは、特定の(あるいは得意な)ジャンルに特化して、その上での豊富な品ぞろえなどがあるほうが逆に存在感は引き立つし、結果行ってみようという気にもなりますが、現在のカインズは自宅からかなり遠いこともあるし、いまのところそれでも行きたいという理由もないので、個人的には近くの行き慣れたホームセンターで充分です。
そうそう、カインズのオリジナル商品の中でもかなりの人気ということで、テレビでも繰り返し見せられた積み重ね可能なプラスチックの収納ボックスで斜めのフタのついたアイテムは、もともとはカインズが発祥なのかもしれませんが、いまではどこのスーパーでも類似品が山積みされているし、一向に新鮮味はありませんでした。
最初の打ち上げ花火だけは、やけに仰々しく、これでもかとばかりに空高く打ち上げるというのが今流なのかもしれませんが、あんまりやられると、いち消費者としては却って失望を味わうだけのような気がします。