着なくなった服の整理というのはなかなか難しいものです。
とくに男性もののほうが、際立った流行に左右されないぶん、より困難かもしれません。
その点女性は、絶えずこの点にアンテナを立てトレンドに敏感なので、順次入れ替えていくことが半ば当たり前かもしれませんが、男性の場合は、よほどのことでない限り服をどうこうすることって…なかなかないのです。
でも、例えば10年(かどうか知らないけれど)前に比べたら、例えばワイシャツの身ごろというか、横幅が今はかなり細身になってきていて、マロニエ君も当初は最近の男性は身体が小さくなってしまったんだろうか…と勘違いしていた時期がありました。
首周りや袖丈は同じでも、身ごろは明らかにタイトな作りになりましたし、ジャケット然り、パンツなんて細すぎて「なにこれ?」と思うものも少なくありません。
マロニエ君は通常はLサイズなのですが、身ごろに限っていうなら、一昔前のMより今のLは細いかもしれないぐらい、気がついたら変わってしまっているようです。
シャツなどを必要に応じてちょこちょこ買っているぶんには、さほど気がつくこともありませんでしたが、だんだんと何年も前のシャツなどは着なくなってしまうようです。他の人も同じかどうか知りませんが、やはり新しく買ったものを着る機会が多くなり、以前のものはクリーニングから戻ってきたまま袋に入って状態でタンスの棚に眠っています。
それでも、例えばボタンダウンのシャツなどは、べつにデザインにそう違いはないだろうと思って昔のものを出して着てみると、中にはやけに幅広で(体型はそれほど変わっていないので)、以前はこんなものをなんとも思わないで着ていたのかと思うと、さすがにびっくりしてしまいます。
流行というのは恐ろしいもので、「普通」の基準点が変わってしまうことらしく、たかだかボタンダウンのシャツでも古いものは何だかおかしくてもう着られません。
そんなものがあちこちを占領しているため、限られたスペースはやたらひしめき合い、それが何の意味もないことにだんだん気が付き始めました。
とくに傷んでもいない、かつては気に入って買った服を廃棄するのはちょっとした抵抗感もありますが、さりとてこのままタンスの肥やしにしても何の意味もなく、ただそこにあってスペースを占領するだけで、結局じゃまなだけです。
で、この先、着ることはないであろうものを昨日ついに引っ張りだして、再検討し、間違いなく着ないと断定できるものだけをさらに選び出しました。
パンツ類は別で、この日の整理は上半身ものだけにしましたが、それでもIKEAの青い袋の中型がいっぱいになるだけの服が着ることはないアイテムとして認定され、廃棄の対象となりました。
そのときはちょっと複雑な気持ちも無くはなかったかれど、いったんおさらばしてみると却ってスッキリして、やはり以前も書いたように、とくに幸福感もないような無駄なモノに囲まれて生活するのは愚かしいことだというのは間違いないようです。
BSチャンネルでは、昔の映画やくだらぬドラマなどが流れていたりしますが、そこで目にする服装は、なんであんなにみんなダボダボのダサいジャケットやコートを当然のように着ていたのかと思うと、どうしようもなく笑ってしまいます。
その笑いの根拠となるのは、それがカッコイイ、ステキという大前提から、みんながおかしな服装をしているように現代の目には映るからだと思います。
若い人がピチピチの細いスーツなんかを着ているのを見ると、これもどうかと思うし、また年月が経てばそれをドラマなどで見て笑うことに必ずなるわけで、これの繰り返しでアパレル業界は成り立っているんでしょうね。