舛添劇場

東京都の舛添さんの公私混同問題は、ものすごい盛り上がりですね。

猪瀬さんの時を上回る話題性というか、正確に言うならその持久力はたいへんなものです。
連日テレビは、この話題を朝から晩までこれでもかと取り上げ、ワイドショーでは、これに割く時間がしぼむどころか逆に日を追うごとに増してきている感じです。

コメンテーターもお馴染みの顔ぶれがレギュラー出演状態となり、あっちへこっちへと番組を渡り歩いているご様子で、辛辣な批判の陰で、内心「舛添さまさま状態」な方々もずいぶんいらっしゃるようです。

テレビのスイッチを入れれば、たいてい舛添さんの土色の顔と鬼のような眼光が映っており、それほど日本国内はこの話題に熱中(熱狂?)しているのは間違いありません。
かくいうマロニエ君も、毎日呆れつつそれを楽しんでいるくちで、ひさびさの野次馬根性全開状態です。

それにしてもほとほと感心するのは、舛添さんの「しがみつきパワー」でしょう。
あれだけ連日連夜にわたって、東京都民はじめ全国民が怒りの集中砲火を浴びせているのに、なんとしてもこの難曲を乗り切ってみせるという爬虫類のようなスタミナは、腹立たしくもあるし、とてもかなわないというため息が出てしまいます。

絶対にあんなふうになりたいとは思わないけれど、あのメンタルの異常な強さは、千分の一でもわけてほしいほど、通常の人間だったら到底耐えられるものではありません。
都議会の質問でも、代わるがわる「あなたはセコイ!」など、通常なら現職の知事にとても使わないような強い言葉を浴びせられても、どんな長時間の恥辱にまみれようとも、絶対に辞任はしないというあの異様なまでの強さは見ている我々を戦慄させ、それがますます引き下がれない批判のパワーを生み出していると思います。

またメディアの表現にはそれぞれ線引というのがあり、テレビでは言えないこともたくさんあるようで、週刊誌の広告に至っては信じられないような行状の数々がすっぱ抜かれており、とにかく並大抵の御仁ではないことは間違いないようです。

知事の場合、公金の政治活動費は5万円未満は使途の報告義務がないらしく、あるコメンテーターは「舛添さんは、要するにご自分と家族の衣食住を、ほとんど公費でまかなっているようなものですよねぇ。」と言いましたが、これ、知事としての彼の有りようをまさに一言で言い表しているようです。

猪瀬氏の時と違い、ネタも種類も多くて豊富、テレビもこれさえやっていれば視聴率が取れるので、各局競い合うように舛添ネタばかりですが、マロニエ君もいくら見てもおもしろいのでついつい飽きもせず見てしまってます。

今回とくに面白い要素のひとつは、政治家の金銭スキャンダルとしてはかつてないチマチマ感で、これまでの政界で普通だった巨悪に較べると、やれヤフオクで7000円だのクレヨンしんちゃんの本だのと、いかにも庶民の手にも取り扱いやすいネタが満載で、その細かさときたら舛添氏の人柄が織りなす緻密な手仕事を見せられるようです。

ご本人も、まさかこれほど鎮火のできない大火事になるとは思っていなかったでしょうが、この先どんなに粘ってみせても、さすがにここまでくれば辞職以外に世間もマスコミも承知しないでしょう。

だいたい、やれファーストクラスだスイートルームだ別荘だというような人間は、ムヒカさんではないけれど、精神的に非常に貧しい人特有の、とめどない貪欲な上昇志向と自己顕示欲から出てくるもの。
なかには「警備の問題からファーストクラスが必要だった」という馬鹿げた弁明もありますが、狭い機内で、ビジネスとファーストで警護をする上での違いなんぞあるわけがない。

いくら東京が大都市だといっても知事は知事、ビジネスクラスに乗り、良いホテルの通常の部屋に宿泊して、それできちんと仕事ができないようなヤワな人間なら、そもそもそんな仕事につく資格はないのです。

つらつら考えるに、今回の騒動では、渦中の舛添さんにも世間にひとつふたつは貢献したことがあるように思います。
ひとつは少々のドラマや出来事なんて物の数ではないほど、けしからぬ話題として大衆を楽しませたこと。
もうひとつは、この程度の細かいごまかしを日常的にやっている政治家は、実際にはうじゃうじゃいる筈なので、その連中もこの想定外の騒ぎを見ていささかビビっているだろうということです。
そういう意味では、格好の見せしめ的な事案になるわけで、そんなお役には立っているのかもしれません。

まだ収束したわけじゃないので、来週も楽しみです。