渋滞地獄

ちょうど10日近く前のこと。
最近は滅多なことでは遠出をしなくなったこともあり、先日の3連休の真ん中の日曜日、大した目的もないけれど友人と熊本あたりまで行ってみようかということになりました。

完全な夜型人間のマロニエ君としては、通常は休日の午前中から出かけるということなどまずないのに、この日はなぜか早く目が覚めたことでもあり、極めて珍しいことに午前中からの出発となりました。

福岡から熊本までは約100kmほどで、東京で言うなら御殿場あたりに行くぐらいの距離です。
近頃のネット情報を活かして、夜は食ログで熊本市内の一番人気らしい有名なとんかつ店で評判のロースカツでも食べようということになり、意気揚々と出発したのでした。

ただし、行った先にこれという目的はなく、熊本城はじめ多くの観光地は震災の影響で立ち入りが制限されているらしく、行ってみたかった漱石の旧居跡なども、フェンス越しの見学しかできないとかで、無理に何か決めることもなく、とりあえずぶらりと行ってみようというわけです。

福岡から熊本に行くには国道3号線を南下して太宰府インターから九州自動車道に入るわけですが、街中の道も心なしか車が多い感じだったものが、いよいよ3号線に入ると思いがけない渋滞にびっくり。
信号や交差点などで解消される気配もなく、とにかく延々と渋滞は連なっており、ついにはインターまでその状態が続きました。

驚いたのは、3号線の上を走る都市高速が「渋滞」を理由に各ランプは入場が禁止状態となっているほどで、ときどき見える上の道さえ車の動きはノロノロしていることでした。これはかなり厳しい状況だとは察しましたが、それでも高速本線に入ってしまえば多少流れが遅くとも信号はないわけだから、なんとかなるだろうとぐらいに思っていると、ETCのゲートの前後まで渋滞しているし、3車線の高速本線もびっしりと多くの車で埋め尽くされており、かろうじて動いているという状態。

正直いうと、この時点で家を出てから早くも1時間以上が経過しており、強い日差しもあってもうすっかり疲れてしまっていましたが、対向車線も似たようなものだし、せっかく久々に重い腰を上げて出てきたというのに、いまさら次のインターで降りてUターンというのも癪なので、意地を張って走り続けることに。

途中、昼食も摂りたいし、トイレにも行きたいので最寄りのサービスエリアに入ろうとすると、それがまた大行列。
なにこれ!と思ってとりあえずここに寄るのは止めにしてそのままやり過ごし、数十キロ先にある次のサービスエリアに入りました。
さきほどではないものの、こちらもかなりの満車状態で、駐車するだけでも何人もの誘導員がでており、彼らの指示によってなんとか車を停めることができるなど、とにかくひとつひとつのことをするのがいちいち大変。

車から降りても人人人で、フードコートみたいなところの席を取るだけでも戦いで気が休まりません。
こうなると、もうなんでもいいから食べられるものを食べて、再び出発しますが、本線に出るのもズラッと並んでいるし、本線では止まることがなかったというだけで、熊本インターを降りるまでノロノロ状態は続きました。

熊本の市街に入ったときはすっかり疲労困憊、もうグダグダに疲れてしまってどうでもいい気分。これからどこかに行ってみようという気にもならないし頭も回りません。
惰性で走っていると、有名な「水前寺公園」の標識が目に止まったので、とりあえずあてもないことではあるし、一刻も早く車を止めて休息したいという理由で、あまりにベタな観光地だとは思ったけれど、とりあえずそこへ行くことに。

水前寺公園は連休というのに意外に人が少なく、車もあっさり駐車場に置けて、トボトボ公園目指して歩きましたが、来園者のほとんどが中国からの観光客ばかりという感じでした。もうこっちは疲労の極致なので庭園内を散策してみる気にもなれず、ベンチに座ってとにかく休憩することに。

この時点で、まだ時刻は16時前で、途中でおやつまで食べたものだからお腹はいっぱいだし、夕食の時刻まで何をする気にもなれず、目指すとんかつ屋には行ってみたかったけれど、それよりも早く帰りたいという気分のほうが上回ってしまい、仕方がないからゆるゆると帰ろうかということになりました。
それでもせっかくなので、熊本城の瓦の落ちてしまった天守の姿だけでも見ていこうということになり、そちらへ走って見ると、車の窓越しではありますが傷を負った名城の、それでも威厳ある姿を見ることはできました。
むろんきれいに整備された城も素晴らしいけれど、この傷ついた感じというのも、むしろ妙な風格を醸し出しているように感じました。

お城のまわりの道に沿って走ると、崩れた石垣を修復しているところも何ヶ所かかり、この熊本の宝を早く元の姿に戻そうという作業が始まっていることが伺えました。

福岡に戻るにも、本来のインターは大渋滞でとても普通に下りられるとは思えず、2つ手前のインターで降りましたが、それでも最後の最後まで激しい渋滞が収まることはついになく、終日ストップ&ゴーから解き放たれることはありませんでした。
とくに日没時間帯の高速でのノロノロ運転は、恐ろしいまでの睡魔との戦いで、事故だけは避けねばならぬと普段以上のエネルギーを要して、もう二度とゴメンという感じでした。

考えてみればこの日は連休の中日でお天気は抜群、しかも予報では翌日は一転して終日雨ということになっていたので、誰もがこの日に集中してしまったらしいことが途中でわかりました。
アホとしか言いようのない読みの甘さというか、なんともバカなドライブで、まさに骨折り損のくたびれ儲けそのものの一日でした。
一体、何をしに行ったのやら今だにわかりません。