カーナビもほどほどに

先般書いた関西への旅ですが、今回は途中出雲方面に立ち寄ることなどもあって、車で行きました。

車本体にもカーナビはありますが、マロニエ君も時代の趨勢に従って今回はiPod miniをアームレストに置いて、グーグルナビをメインに、車載のカーナビをサブ機として走りました。

急ぐときの使いやすさ、見やすさ、ルートの種類が選択できることなど、カーナビのほうがまだまだ上を行く点も多いけれど、グーグルナビがなによりも優勢なのは、地図情報が常に最新のバージョン(しかも無料)である点でしょう。
で、途中まではグーグルナビを使っていたのですが、2日目に大阪市に入るあたり、宿泊地であるホテルを目指すときにはカーナビを使いましたが、結果からいうとこれが大いなる間違いでした。

大阪での宿は安くて快適・便利に泊まれたらいいというわけで、JR福島駅(大阪駅のとなり)の真ん前にあるホテル阪神を予約していました。
しかし、マロニエ君は東京の道はだいたいわかるけど、大阪はまったくチンプンカンプンなので、ひたすらカーナビの指示に頼りっきりでした。

いよいよホテルが近づいてきたという時、隣の友人が「あ、ここを左折!」とほとんど叫び声に近い言い方をし、慌ててハンドルを左に切りましたが、そこは福岡でも走ったことのないような信じられないほどの狭い道で、道というより路地裏といったほうがいいようなところでした。

しかもただ道が狭いだけではなく、いろいろな看板やら自転車がひしめき合い、普通の判断じゃ通るのは無理。
とてもじゃないけれどこんなところを走る自信はありませんが、カーナビはこの道だと言っているし、目指すホテルは(この時点ではよくわからないけれど)目前のようで、とにかく最大限の注意をしながら「行くしかない」ということになりました。

やがて左に曲がる指示が出ますが、とても曲がれるような幅はないし、あいかわらず多くの自転車はじめガチャガチャとモノが無造作に飛び出しているし、さらに曲り角には意地悪のように電柱が何本もあって、これは無理と言いましたが、だからといってホテルをスルーするわけにも行かない。

左右のミラーなど数センチ、脂汗の出るような思いで、なんとか曲がることだけはできたものの、なんとすぐ先は行き止まりではないですか!!!さらに追い打ちをかけるように後ろから軽トラがこの道に入ってきました。

バックして自分の車をどかさないことにはどうにもならず、この時点でもうほとんどパニックでした。
前進でさえやっとの思いで左右数センチのすき間を狙いながらやっと入ってきた道を、今度はバックで、しかもさっき途中で左折した角をバックで曲がらないことには、後ろで待っている軽トラが前に進むことはできません。
さすがにこの軽トラもこちらが難渋しているとわかっているらしく、おとなしく待ってくれてはいます。

マロニエ君の車は今時にしては大型車の部類なので、これはとても無理だと思いましたが、ここで車を捨てていくわけにも行かず、何度も切り返しながらバックで左の角に入ろうとしましたが、あまりの狭さに身動きが取れず、ついに車が電柱に接触しまいました。
全身脂汗に包まれながら、なんとかその場を脱したものの、車を降りてみると、フロントの右側(あまりにも後ろと右側に気を取られていたため、こっちの注意が手薄になっていたようです)にザーッと電柱でこすった傷跡が残り、もうがっかり。

車をぶつけるのにどこならいいということもないけれど、やはり遠い旅先でそういう事が起こるのはショックも倍増です。
その後、カーナビを無視して大きな道に出て、普通にホテルを探すと、なんとさっき通ってきたばかりの福島駅前の大通りに面した大きな建物がそれで、そこには堂々たるエントランスというか、かなり広い車寄せまであるのを見たときは、二度腰が抜けました。
つまり我々は、カーナビ様の命令に盲従しすぎたため、目指すホテル前を通過したあげく、あのジャングルのような路地裏に迷い込んでしまったのでした。

痛い教訓でしたが、カーナビというのはルートも情報も決して絶対なものではなく、とくに目的地のどこを示すかによって最後のルートが大きく影響を受けのは、よほど要注意であると身を以て経験させられました。
これがはじめから正面玄関を示してくれていれば、何も事はおこらなかったはずなのに、地元ならともかく、見知らぬ土地でこそ頼りにするのがカーナビで、それをいちいち疑うことはやはりしないし、言われる通りにしてしまうのが困りものです。

それ以外は無事に福岡に戻って、車はさっそく板金修理に入っていましたが、昨日やっと連絡があり、塗装の修理が終わったそうです。やれやれ。