炊飯器

数年ぶりに炊飯器を買い換えました。

これまで使っていたものは、ごく基本的な機能をもつだけのタイプでしたが、何年か使っているうちにだんだんご飯がボサボサした感じになり、あまり美味しくなくなってきたため、そろそろ買い替え時かなあと感じはじめていたところでした。

電気製品なのに、だんだん美味しさが落ちてくるというのは、その前の炊飯器も同様だったので、長く使っていると炊きあがりの変化に関わる何らかの劣化がおこってくるのかと思いますが、ただ電気でお米を炊くだけの機能に、なにが作用してそうなるのかまったくわかりません。
電気の抵抗などが増えて、火力が落ちてくるのか…なんだろう。

もとより修理するようなものでもないから、こうなると必然的に買い替えということになります。

というわけで電気店の炊飯器の売り場に行ってみると、これがもうピンキリの世界でわけがわかりません。
どのメーカーを選ぶべきか、どの価格帯にすべきか、そもそも1万円と5万円以上の機種では何が違うのか。

いちおう価格帯として最低ランクを買う気もないし、かといって最高ランクを買う気はさらにありませんでしたから、なんとか中間地帯でコストパフォーマンスの高そうなモデルを選びたい。
まさにこういうのって、日本人的中庸を欲する感性だなぁと我ながら思いました。

メーカーもタイガー、パナソニック、象印、東芝などの他、昔はなかったアイリスオーヤマなどがあり、どれがどうなのかまったくわからないし、何の違いで価格が違うのかも謎。
そうこうするうちに、迷って困惑しているマロニエ君の姿を観察していたのか、絶妙のタイミングで店員さんが近づくなり「炊飯器をお探しですか?」と話しかけられました。

普通なら店員さんが寄ってくるのはうるさいと感じるのに、このときばかりは折よく質問相手が現れたという感じで、さっそくオススメのメーカーなどをきいてみると、人気があるのは△❍△あたりですかねぇ…という感じでしかなく、やはり聞き慣れたメーカーが定評があるらしいということがわかりました。
とはいっても、今どきの製品なので、メーカーによる差というのはそれほどないような口ぶりでした。
では、価格帯の差は何なのか。

それは主に内釜の構造や使われる素材、あとは火力や多様な制御によるものという感じで、たしかに説明だけ聞いていると高いほうが美味しく炊けるらしいということはわかったけれど、それが実際にどれほどの差になるのかはわかりません。

で、その場ではとてもではないけれど判断できないことを悟り、すぐ購入することはせずにカタログをもらって一旦帰宅、ネットの評価などを数日かけて調べました。
それによると、高価な機種がいちおう高い評価を得てはいるものの、中には1万円台の機種でも高評価のものがあったりして、絶対評価なのか、あくまで価格を分母に置いた評価であるのかはよくわからない。
実際に店頭でモデルごとに炊いたご飯を試食した人などの意見では、「ほとんどその差がわからなかった」というものがいくつかあり、機能はともかく、数万円の差が必ずしも美味しさという結果に正比例するわけでもないらしいことがわかりました。

その結果、ずいぶん悩んで象印の圧力IH炊飯ジャー「極め炊き」という、3万円台の機種に決定しました。

以前の炊飯器に比べると、ずいぶん立派で重く、サイズも大きめで色はブラウン調で堂々としていますが、はたして炊きあがりはどうかというと、美味しくないことはないけれど、宣伝文句ほどのものとも思えなかったというのが正直なところでした。
炊き方も、やたら種類があり(49種!?)どれを選んでいいのかわからないほどあり、使いこなすことは簡単ではないように感じます。

前のくたびれた炊飯器と比べたら美味しいのは確かだけれど、販売員の説明やカタログにこれでもかと踊る説明ほど美味しいかというと、それほどのものでもない印象。
もしかしたら、自分にとっての最適な炊き方をまだ探しきれていないのかもしれませんが…。
むろん後悔はしていないけれど、あまりに謳い文句が華やかでそのぶん期待大だったから、少しがっかりだった面があることも事実でしたが、冷静に考えればこれで十分です。