今年最後

今年も残すところ残り2日となりました。
月並みですが、本当に時の経つのが年々早くなってきている気がします。

世の中も不安定化が進み、国際社会はどこを見てもきな臭い話ばかりだし、自然災害も脅威の度合いが強まるなど、この先いったいどうなるのかと思います。

とりわけ文化の質の低下があらわになっているのは、専門家にいわせればいろいろな理由があるのだろうと思いますが、マロニエ君が端的に思うのは、やはり西洋文化の本場にして担い手でもあるヨーロッパの弱体化は要因のひとつだろうと思います。

ピアニストもいわゆる真の大物やスターは、どれだけ待ってもこの先当分は出てこないでしょう。
整った教育制度で培養された、コンクール出身の、芸術性より能力に秀でたピアニストが、似たようなレベルで、似たような演奏を職業的にしてまわるだけで、ワクワク感がないからテンションあがるわけがない。
高度な技術はあっても、表現に対するこだわりや冒険がなく、研ぎ澄まされた感性の導きとか、美に耽る様子などさらになく、すべてがフェイクっぽい空気感で、それで感銘を受けるほど聴衆の心はお安くはありません。

楽器のほうのピアノも、まるでわけがわからなくなりました。
大衆品ならいざ知らず、一流メーカーまでもが、どうも陰でコソコソやっているのが気に入りません。
見た目は立派で、ピカピカきれいで、同じマークをつけているけれど、生産過程は闇だらけのまるで信用に足らない状態になりました。

どこぞの国でかなりのところまで作って、最終仕上げだけを本来の国や工場で行うというのもかなり横行しているようで、どこまでが正当な分業で、どこからが欺きに近いものかの判断基準もあいまい、すべてが秘密裏にやられていてわからない。

一時は製造国を隠して販売することが商業道徳上の問題となったこともありましたが、現在その汚染は更に広がり、巧妙化し、より悪質になっている印象です。

…けれども、それをけしからんと嘆いても詮無いことで、要するに世の中はそういうところまで否応なしに来てしまったということだろうと思います。

こちらだってそうはいいつつ、日常生活の中では同様の思想や価値観やシステムで作られた「安くてよくできた製品」をさんざん購入し、それらにまみれてメリットを享受しておいて「ピアノだけはダメ」というのは、心情としてはそうでも、現実に通用する話ではないのでしょう。

わざわざヨットに乗って大海を往来して批判の声を上げる気骨もなく、欲しいものは安い通販を利用し、旅行となれば安価な航空券を探しまわるのですから、自分自身が完全にその構造の中に生きているわけで、これが時勢というものかと思うばかり。

せめて過去の遺産や名品を大事にしていくぐらいしか、今できることはないようにも思います。

さて、来年はどんな年になることやら、この日本丸の乗組員として成り行きを見守るだけですね。
年が明ければ令和二年となり、なんだか慌ただしい感じです。

ブログをお読みくださる皆様、今年もお付き合いくださりありがとうございました。