大事なこと?

くだらないといわれそうなこと。

マロニエ君がスマホをもつようになったのは昨年12月の初旬のことでした。
その手続きに際しては、プランがどうの、この説明、あの説明、ここにもあそこにもサイン、在庫確認だ、なんだかんだでソフトバンクのショップ滞在時間は、実に2時間オーバーというヘビー級のものでした。
もうクタクタで、店を出た時は、めまいがしそうでした。

その一連の手続きの中に、画面に保護のためのシールというのがセットでついているとかなんとかで、よくわからないまま貼ってもらいましたが、その保護シートがいつごろだったか、はじめは汚れかと思ったら上のほうに小さな浮きのようなものが現れ、時が経つにつれ増大していきました。

あまり気にせず使っていましたが、ついには横幅いっぱいにまで成長したために、さすがにこれはマズイと思いショップに行くと、ニコリともしないベテラン風の女性が出てきて「ご用件は?」と聞いてくるので、ざっと説明をすると、保護シートの保証期間は6ヶ月です、昨年の12月でしたら保証期間は切れておりますので新たにお買い求めていただくことになりますが!とにべもなく至って事務的にいうのに内心ムッとなりました。

浮きが出たのはずいぶん前だったことを説明すると、奥の人間と相談しながら、今度は若い男性が対応に出てきて、端末をお預かりしますと言われ、名前や生年月日などを書かされて、さらにまたこちらにやってきて身分証明書といって免許証まで提示させられました。
それから待つこと15分ほど。

なんらかの処理をしてくれているものと思っていたら、やっと預けたスマホを手に戻ってきたその店員が口にした内容は、なんと、はじめの女性と何も変化のない、まったく同じことの繰り返し。
さらに保護シートというものは浮いてくるものだから、仕方がない事だという主張。
だったら、なんのために名前を書かせたり、身分証明として免許証まで見せたり、さんざん待たせたりしたのか。

最近は、何事にも努めておとなしくしているマロニエ君ですが、さすがにこの時は納得がいかず、今日の今日、保護シートが突然浮いてこの状態になったわけではなく、はじめはよく分からず様子を見ていたこと、また、購入時に保護シートは浮いてくるものという説明はなかったし、そもそも保護シートにまで保証期間があって、それが6ヶ月というのも知らなかった。
1年も経っているというならともかく、保証が切れて1ヶ月たらず、しかも浮きの発生は6ヶ月以内で時間とともにだんだんひろがってきたもの、さらには10年以上にわたって家族分を含めてこの店だけを利用してきて、あげくこのような規定ルールを冷たく言い渡されるのは不愉快であること、よって交換には及ばないことを伝え、すぐに店を出る準備をはじめました。

するとその店員は再度奥に行って相談したのか、戻ってくるなり「今回だけ特別に!」ということで無償で張り替えてることになりました。
どうせ千円やそこらのもので、ネット上には山のように売っているようなものですよ。
普段から過剰なサービスをエサにしては顧客の取り合いに明け暮れていながら、いざとなるとこんなお粗末な対応をして、せっかく贔屓にしている顧客の心象を著しく害するのはどういう了見なのかと思いました。
それと、マロニエ君はべつに無償交換にこだわっているのではなく、その際の対応があまりに木で鼻をくくったような、申し訳ないという気持ちのかけらもない冷淡で不愉快きわまる対応、これに憤慨したのです。
むこうだって商売なんだからお客さんには笑顔で接し、申し訳ないけれどもこれこれの事情があり、こういう対応にならざるをえないと礼を尽くしていわれればそれでいいのですが、こちらの気持ちという一番肝心な部分をいきなりバサッと斬りつけてくるような対応には不快感しかありませんでした。

さらに同じ日、そのすぐ近くのスーパーに行くと、購入商品を袋に詰めるスペースで「お客様の声」というのがボードに張り出してあり、直筆で同情を禁じ得ないことが書かれていました。
スーパー内のベーカリー店でパンを購入したところ、並んでレジを済ませたら、なんと自分の次の人から半額となり、非常に不愉快だったということが綴られていました。

半額にするなら、やはりそこはちょっとお客さんが途切れてからにするとか、ちょっと前倒しして半額扱いにするとか、商売というものはそういうちょっとした気遣いや心遣いが後々に響くもので、あまりに無神経なやり方だと思います。
少なくとも、不愉快な思いをさせられたら、傷ついた側はいつまでも覚えていますからね。

こういうことは人によっては「くだらない」「大したことじゃない」などと一蹴される可能性がありますが、我々生身の市井の人間の生活感情においてはそういうことはくだらないこととはマロニエ君は断じて思いません。
事象としてはくだらないかもしれないけれども、そこに生じた不快感はまぎれもなく本物です。
ささやかなことで喜んだり幸せな気持ちになることは大事だというなら、その逆もコインの裏表で同じことでしょう。