あけましておめでとうございます。
昨年は世界中が新型コロナに明け暮れる一年でしたし、それは未だ進行形でもあり、収束の目処も立たないという不安の中で迎える新年となりました。
世の中がそんなふうになると、音楽やピアノに関する話題やこのブログに書きたいようなネタも激減するのはやむなきことで、このブログもいつまで続けられるかわかりません。
少しずつ再開されるコンサートも厳しい制限付きですが、音楽というのは本来ある種ノリの世界なので、そういうことになってくるとますます衰退するのではないかと危惧しています。
とりわけ音楽業界に身を置く人の苦悩は如何ばかりかとお察しします。
意外な現象もあるそうで、さる業界の方から聞いたのですが、ヨーロッパ(とはいっても一部の国かもしれませんが)では、コロナ禍以降、下降気味だったピアノ販売が好調に転じているとか。
これは取りも直さず、ステイホームで家の中の楽しみとしてピアノでも弾こうという事なんだと思いますが、やはりそのあたりがヨーロッパは西洋音楽の発祥の地だけあって、根底にあるものがちがうなぁと思います。
日本人は、どんなにステイホームと言っても、せいぜい大型テレビを買ったり、ふだん作らないような料理をしたりと、過ごし方は様々でしょうけど、少なくともピアノを買って家で弾こうという行動にはつながる人は、極めて少ない気がします。
クラシック音楽にかぎらず、楽器を購入して楽しむということが根本的に文化として身についておらず、わけてもピアノといえば練習だレッスンだと修行のほうが先に来て、その延長の先のほうに一部の人の趣味があるだけ。
生活の中に音楽したり楽器に触れたりということが自然な楽しみとして根を張っていない故だと思います。
それと、生活形態も人々の意識も昔とはずいぶん変わって、多くの人達が、街中の便利のいい機能的なマンションで暮らすのが圧倒的に増えました。
それはいいけれど、同時に世の中の価値観や空気も変容し、俗にいう「不寛容の時代」というものに年々厳しさが増していて、一つの建物のなかに上下左右を別の世帯と壁一枚で仕切られて生活しているための不自由も少なくないようで、なにごともルールづくめとなり、それが行き過ぎた観もあるのか、ずいぶんと窮屈を強いられるようです。
管理する側も、各世帯の自由と幸福を維持するために奮励努力するなんてまっぴらのようで、問題があれば片っ端からルール化し、ルールがあればそれに違反した人には違反者のレッテルを貼り、場合によっては罰するという処置しかしないのがほとんどだとか。
当然、ピアノの音などは糾弾の対象となるものの筆頭で、一人でも迷惑という声が上がったら最後、うるさいと主張する側が守られ優先され、音楽を楽しむ人の権利はまったく顧みられないようです。
これでは、よほど高度な防音対策でもしていない限り、ピアノなど弾けるはずもなく、ピアノ=周囲への遠慮と気遣いというストレスになり「楽しむ」どころではないようです。
よって日本ではピアノを取り巻く環境は年々厳しさを増し、肩身の狭いものになってしまうようで、この流れはなかなか止められないのでしょうね。
尤もピアノひとつが弾けたからといって、コロナの苦しみが解決するわけではありませんけど。
パンデミックや不穏な国際情勢のせいで、世界中が前途多難という印象が拭えませんが、かといって自分だけそこから逃げ出すわけにもいかないので、そんな中でを少しでも楽しくやっていくしかないですね。
2021年がどんな年になるのかわかりませんが、ともかくよろしくお願い致します。