ワクチン接種

職業上の区分によって(ありがたいことに)少し早めにワクチンを打つことができました。
新型コロナのワクチンについては、短期間で開発されたワクチンで実証研究等の不足を不安視する声も多く、接種直後の副反応だけではなく、数年先の後遺症の有無などもわからないことも多いという不安要因も含んでいるというわけで、ずいぶん考えた末の接種でした。

事前に、知り合いに等あちこち聞いてみると「打たない」という人は予想以上に多く(マロニエ君の周りにそういう人が多いのかもしれませんが)、また県内の看護師さんが接種翌日に亡くなっていたというような衝撃的なニュースもあったり、あるいは本当は安価な治療薬ができているのに大手製薬会社の陰謀で、それが日の目を見ることなく、莫大な儲けとなるワクチンを使うことになった…等々、虚実入り乱れて否定論には事欠きません。

さらには、国内外の医師など、専門家にも自分も家族も決して打たないという人が多いとかで、否定的な意見があまりに出てくるのについ驚いて危機感が募り、一度は予約できていたものをキャンセルしたりしたものの、今後(すでに?)迫り来るであろうインド株などの猛威を考えると、やはり打つほうを決断し、予約を取り直して一週間後に接種会場に赴きました。

そこで、ワクチン接種の現場とはどういうものかをレポートしてみます。
まず自治体に事前のネットでの申し込みをする必要があり、そういうことがまず煩雑です。
申し込みが受理されると、郵便で問診票や接種券といったものが送られてくるのですが、ここまでにもかなりの日数を要します。
それらを経て、ようやく予約した日時に、接種会場に行くことができというもの。

これは各自治体ごとにやり方を決めるのか、全国同じなのかわかりませんが、とりあえず福岡市の場合です。
マロニエ君の場合、接種会場はマリンメッセという広いイベント会場のB館という分館でした。

会場に行くと、建物を入ってすぐのところにスタッキングチェアが碁盤の目のようにキッチリと縦横に並んでおり、それが4つぐらいのブロックに分かれています。
マロニエ君は17時〜18時という枠だったので、17時少しまわったころに到着しましたが、すでにかなりの人が着席しており、席はすべて会場に入る順番通りと決められており、要はここから先は決められた指示に全面的に従う必要があるようです。

ブロックごとに事前説明があり、そのブロックの横一列ごと、呼ばれたら立って言われるままに中に入っていくわけですが、その様子には妙な怖さがあり、同時にこれはかなり時間がかかりそうなことも直感しました。
案の定、ここで20分ほど待たされ、ようやく自分の列が呼ばれて中に入りますが、すべての動きは少なくない関係者にしっかり監視されており、会場内に入ると、最初にまず問診票と診察券と身分証明を提出して受け付け。

それが済むと、いわれるままに移動して検温され、その結果を「自分で」問診票に書き込む。
それを見届けて銀行のように印字された番号札を渡されますが、その先にも先ほどと同様に整列した椅子があり、ここで自分の番号が呼ばれるのを待ちます。
目の前には白いボードで組み立てられた、窓もない簡易的な部屋のようなものが作られており、数カ所ある入り口には番号が振られ、すべてにカーテンがかかっていて中の様子を窺い知ることはできません。
書かれた数字を見ると、呼び出している番号の40人ぐらい手前で「うわ」と思ったけれど、ここでもひたすら待ちます。

自分の番号が呼ばれたら、指定された番号のカーテン内に入りますが、中には白衣をまとった医師がテーブルを脇にして椅子に座っていて、問診票を手渡すとそれを見ながら幾つかのことを聞かれ、それに返事をする。
そこで打たれるのかと思ったら、そうではなく、再びそこを離れ、さらにその奥のカーテンの中に進みます。

そこでは、ジーパンにポロシャツという日曜日のお父さんみたいな人(たぶんドクターなんでしょうけど、そうは見えなかった)がいて、テーブルの上のトレーには5〜6本の注射器が並んでおり、ここが接種現場であること、そしてこの人の手によって打たれるんだということがわかりました。
「お荷物はそちらに置かれてください」と云われ、ザルみたいなものの中に荷物を入れ、問診票と診察券を渡すといよいよ接種という事になりました。

「こちらを見ていてください」と白い壁のほうを示され、さも「打つところを見るな」と言わんばかりで、内心どっちを見たっていいじゃないかと思ったけれど、この際言われたとおりに。
左の肩の少し下ぐらいにアルコールのヒヤッとした感じがして、続いてチクッとしたかと思ったら、接種はそのものはあっけなく終わりました。

ここまでに40分ぐらい経っていたので、さあ帰ろう!と思って荷物をもって外に出ると、そこにはまたも誘導員が待ち構えており、18時04分と手書きされた青い紙を渡され、誘導され、「こちらにお掛けください」とここでもまた整列した椅子への着席を命じられます。
「え…、まだ終わりじゃないの?帰っちゃいけないの?」と思ったけれど、周囲の人は皆さんはほぼ沈黙で、神妙な面持ちでおとなしく指示に従っておられ、さすがのマロニエ君もその場の空気に押されて一言も質問せずに従いました。

なんでも、ワクチン接種後は15分間安静にしておかなくてはいけないのだそうで、ここで強制的に安静を強いられるようで、だからまだ帰れなかったわけです。
多くの人はスマホなどをいじるなどしながら淡々と待っておられるようでしたが、マロニエ君はあっちで待ちこっちで待ちの連続でかなり気疲れしており、さらにここからまた15分じっとしてろというのでは、それ自体がストレスで気持ちは安静どころではなく、スマホを見てゆったり時間をつぶすという気にもなれず、ひたすら修業のようにじっとしているばかりでした。

もう終わったんだから、安静タイムを振り切って帰ろうかとも思いましたが、なんと最後にもうひとつ関所が設けられており、その15分安静にしたことを表す時間が書かれた紙を持って出口近くのテーブルに行くと、ここで最後の仕上げというべき接種証明書というのを発行されるようなっており、要するにどれひとつ省略も逃げ出すことも許されない流れが構築されていました。
そんなわけで会場の外に出たのは、まさに一時間後でした。

その後は、心配した副反応もなく、夜中になって接種した部位が痛くはなったものの、ともかく1回目はそのていどで終わりました。
しかし、聞くところによれば2度目がキツイのだそうで、次回(3週間後)はより覚悟をもって挑まなくてはいけないようでです。