煽り報道

3連休をそっくり奪うように、台風14号が通過していきました。
ところで、この台風をはじめとする、最近のお天気報道には少し違和感を感じませんか?

「観測史上最大級の…」
「数十年に一度、あるかどうかの…」
「これまでに経験したことのないような規模の…」
「いのちを守る行動を…」

こんな仰々しい、本来ならめったに聞くはずのない言葉を、どうかすると毎週聞かされているような気がします。
それなりの被害の爪あとも散見され、備えや安全意識の大切さが大事なことはいうまでもありませんが、いささか言葉の大安売り気味で、個人的には適切な表現とは思えないことがしばしばです。

先週のはじめ頃、前の台風が過ぎ去ったばかりというタイミングで14号が発生とのこと。
同時にこの3連休に上陸の可能性が告げられ、いらい毎日その報道が続き、土曜あたりからその報道も一段とトーンが上がり、前日にはデパートはじめ各種店舗類はもちろん、スーパーやコンビニなど生活にかかわるものまで、福岡市では18日はほとんどが店を閉じ、公共交通機関も止まり、各種イベントも軒並み中止です。
ひとつだけ、大物ミュージシャンが、ファンも自己責任でといいながらコンサートを決行したようですが。

いつも違和感を感じるのは、安全の名のもと、実体に比してあまりに過剰な注意喚起を展開して大衆を煽ることで、却ってそれに慣れてしまい、『オオカミ少年』ではないけれど、災害予報に対して割り引いて聞くクセがつくのでは?という懸念さえ生じます。
公共の電波で「いのちを守る行動を…」などという言葉を使うには、もう少し厳粛なものがあるんじゃないかと思いますが、あまりに乱発されすぎの印象を拭えません。

もしものことがあったら叩かれるという、関係者の責任回避の意識が働いてそうなっているのか?
それが気象庁か報道機関かその他なのかは知らないけれど、互いに連携し、もっぱらアリバイ作りのための報道に我々が振り回されているようにしか見えないのです。

「自分の身を守る行動をとってください」
これも近年よく聞くフレーズですが、それを発している報道機関のその発言そのものが、その行動では?というようにダブって見えてしまい、いつもすっきりしない気分になります。

交通法規には「煽り運転」には罰則が設けられていますが、「煽り報道」にはなんのお咎めもないようです。