私は特定のものにはこだわりが強いほうかもしれないけれど、そうではないところにはまったく無頓着で、衣服などがそれにあたります。
むろん色やデザインは人並みには吟味しているつもりですが、いわゆる高級品だのどこそこのブランドだのなんだのということにはまるで興味がないし、自分が気に入ったものなら安物で一向に構いません。
自分のセンスといえば大げさですが好みに適ったもので、いちおうの身だしなみを満たすものなら、それで充分というわけです。
普段着るものならユニクロなどで充分なのですが、残念なことにあそこの商品はサイズがまったくダメで、こればかりはどうにもなりません。
パンツ類や防寒着のたぐいはまだいいとして、普通の襟のあるシャツ類になるとまるで体型に合わないし、とくに長袖になると絶望的です。
S、M、L、XLといった区別はあるけれど、それに合わせて首回りや袖の長さが固定化されており、世の中にはさまざまな体型の方がいらっしゃるはずなのに、よくこれで商売になるもんだと思います。
胴体を適当に合わせれば、あとは安物なんだからガマンしろ、それが嫌なら買わなくて結構といわれているようです。
ずいぶん前ですが、まだ世界的に物価が安かった頃、アメリカからの通販などに依存した時期がありましたが、あちらのシャツ類は基本のサイズに加えて、首回り/袖丈などを自分の体型に合わせて選べるようになっており、おかげで望む通りのものが楽に手に入っていました。
またコストコなどでも、シャツの大半は同様で、同じMやLでも首回り/袖丈が(インチ表示で)書かれており、その中から自分に合うサイズを選べるようになっています。
しかるにユニクロはそれが全く無く、私は全体としてはLなんですが、それにすると首回りが大きくて不格好な隙間ができてしまいます。
襟付きシャツの場合、首回りのサイズが大きすぎると、いかにも貧相でみっともない感じになり、極端なことをいえば一番上のボタンを外すようなシャツなら、一番上のボタンはきつくて留められないぐらいがバランスがいいのです。
ところがユニクロは全く逆で、一番上を留めても喉元にはまだ三角形の隙間ができてしまいます。
かといってMにすると、今度は身幅がタイトになるのはまだガマンできるとしても、袖が子供用のように短くなってしまってまともに着れたものじゃありません。
ユニクロが徹底した合理化やコスト削減によって現在の地位にまで登りつめた企業だとしても、いまや世界有数の衣類メーカーだというのに、サイズに対してはひどく鈍感というか杜撰というか、洋装に関する最低限の見識を持ち合わせていないようで、このあたりはやはり服飾文化をもたない、しょせんは東洋のブランドという気がします。
その点でいうと、H&M(スウェーデン)なども細かいサイズは選べないけれど、ユニクロのように「首回りが大きくて袖丈は短い」というようなことはないので、さすがは北欧だと思っていましたが、あまりにも雑で生地がペロンペロンだったりします。
そんな折、無印良品でセールをやっていたのでダメモトでちょっと試着してみたら、意外なことにかなりマシというか妥協の範囲であることを発見、さっそくセール品を二枚ほど買い求めました。
無印良品はご承知のように西武系の日本発祥のブランドにもかかわらず、基準になっている寸法はユニクロよりはるかに好ましく、こんなに違いがあるとは思っていませんでした。
そこで、論より証拠というわけで、「ユニクロのL」と「無印良品のM」のごく普通の長袖シャツを重ね合わせてみると、なんたることか着丈も袖丈もほぼ同じで、無印良品のほうはMにもかかわらずわずかに肩幅/身幅が広く、逆に首回りはメジャーで計ったところでは約3cmほど細い作りになっていました。
つまりユニクロのメンズのLサイズのシャツは、無印良品のMサイズ相当で、そこに首回りだけを広げてLサイズと称しているようで、これまでのモヤモヤが一気に解明されました。
どうりでユニクロのMを試着したら、首周りはいいけれどそれ以外はえらくちんちくりんになる筈で、確認こそしていませんが、おそらく無印でいうSサイズだろうと思われ、できればLサイズの袖丈の欲しい私にとって、どうあがいてもムリなことがよくわかりました。
最近は新しい商業施設やショッピングモールができると、ユニクロは抜け目ないほど必ず出店しているあたり、この分野で並ぶもののない大手であることは誰もが知るところですが、そんなに圧倒的な大手なんだったら、すこしは着る側のことを考えてせめてシャツのサイズに関しては若干のバリエーションを追加して欲しいものです。
サイズが増えればムダも出て、そのぶん少しお高くなったとしても、サイズがきちんと合えば私は買いますが、これはシロウトの甘い考えというものでしょうか?