インフルエンザ

今年の正月休みは、例年にはないものずくしで、新年早々は一連の災害や事故で肝を冷やし、後半はインフルエンザにかかるという、散々なことで終わってしまいました。

もちろん、ニュースに出てくる方々の苦しみに比べたら、インフルエンザなどものの数ではないとお叱りを受けそうですが、個人的にはかつてない強烈なもので参りました。
潜伏期間などを考えると、いつかかったのかはいまだにわからないものの、はっきり発熱を実感したのは6日土曜で、カレンダー上はそこから3連休となるあたり、どうして病気になるのは、いつも必ずと言っていいほどこういうタイミングになるのか…。

知り合いの自然派の方に云わせると、発熱するのは体にとって、発熱し外敵と戦う必要があるから熱が出るわけだから、それをむやみに解熱剤などで抑えこんでいると、かえって不調が長引いて、いつまでも症状が改善されないと力説されます。
悪寒がしたら、熱い風呂に長めに入って、そのあとは汁物や麺類など温かいものを体に入れて出来る限り汗を出し、体を冷やさぬよう布団に入って睡眠をしっかりとれば、多くの場合ごく短期間ですっきり回復できるのだとか。

ふんふんなるほど…とは思っていたけれど、普通の風邪ぐらいならともかくインフルエンザともなると、なかなかそういう荒技を試してみる興味もなにもすっかり消え去ってしまうものです。
熱は右肩上がりに急上昇を続け、二日目には40℃という、これまでの人生で一度も経験したことのない数値に達し、併せて体の具合の悪さときたら、およそ耐え難いばかりに悪化。

病院のことも思わないでもなかったけれど、生来の病院嫌いにとって、救急外来のある病院などに行くのもそれはそれでイヤだし、ある人から「救急車を呼ぶべき!」とアドバイスされたりすると、ああもうこの人には言うまい…と思ったり。
もちろんこちらを心配してのことではあるとしても、病院への移動手段として、気安く「救急車を呼ぶ」ような考え方は、どうも性に合いません。

〜というわけで、10日水曜の時点で丸5日経過ですが、かすかに回復傾向にはあるものの一進一退で、とにかくそのしつこさと言ったら並大抵ではないなというのが、今回のインフルエンザの正気な印象でした。
数名の人から聞き集めたところでは、すべてに共通しているのは「今度のインフルエンザは強烈!」ということ。
たしかに以前コロナにかかったときより、あきらかに苦しさの次元が違うし、そのパワーやしつこさもコロナの比ではありません(私個人の場合)。

病院に行けばタミフルなどが手に入ったのでしょうが、それもない以上、今回はロキソニンが唯一の頼りでした。
これを飲めば、わりに熱は下がるし、効能時間も意外に長いので、以前のヘルニアのときに溜め込んでいたロキソニンがたっぷり手元にあったことはせめてもの救いでした。

これまでは風邪を引いても食欲が落ちたことはなく、平気でステーキでも平らげていた私にしてみれば、まったく何も食べる気がしないしゼリーぐらいしか受け付けないのは、我ながらこれは相当なものだろうと思えて怖くなりました。
食べるといえば驚いたのは、高熱が続いたあとは、ものの味が微妙に変わってしまい、簡単に言うと全体に美味しさが損なわれてしまったのはショックで、すぐには気付かなかったものの、あれ?ん??を繰り返すうちにこちらの味覚が狂っているこおがわかりました。
高熱というのは様々な影響があるということがわかりました。

毎日、はじめにがっかりするのは、朝目覚めたとき。
この手の病気になると、どうしても「明日になったら良くなっているのでは?」という淡い期待があるものですが、目が覚めても体調が少しも良くなっていないことがはっきりするときの、あのときのなんともやるせない失望感!
それを裏付けるべく、枕元の体温計を引き寄せてみれば、毎日38℃台から一日をスタートせざるを得ないのは、いいようのない無常感に苛まれます。

日がな一日、折あらば体温計を脇に挟むのが習慣化してしまい、その数字に一喜一憂するのはなんと嫌なことでしょう!

体温計といえば、家にあったこれまでのものは検温に何分間もかかり、待ちくたびれたころにようやくピピッピピッと音がしますが、本当に具合が悪いときは、これさえも苦痛で我慢できないもの。
そういえばコロナ騒ぎの頃、体温計を買っておいたほうがいいということで、ネットで2本購入したけど一度も使っていなかったことを思い出しました。

高熱うなされながら、やっとそれを探し出したところ、パッケージに「検温15秒」と書かれており、え?まさか?とは思いつつ、開封してさっそく使ってみると、なんたることか、それはもう信じられないほど早く、脇に押しやった手を服の中から外に出しかけた頃には、はやくもピピッピピッと音がして、これにはびっくりしました。
正確に15秒かどうかはしらないけれど、とにかく従来のものに比べたら信じられないスピード差で、バスと飛行機ぐらいの違いです。

こんな高性能なものを使ったが最後、もう二度とあのちんたら体温計には戻れません。
…と、体温計はいいけれど、もうそろそろインフルエンザにもおいとまいただきたいものです。