音質調整その後

スピーカーの音質改良で「試行錯誤のアリ地獄にはまるのはイヤなので」と書いた通り、あと一回だけのつもりで、表面が平滑なタイルを探していたところ、ある店でまさにドンピシャリのサイズのイタリア製タイルというのを見つけました。

イタリア製などと云うとさも特別なもののようですが、無地のなんということもないもので、価格も一枚100円ほどにすぎません。

これを素焼きレンガの上に置くつもりですが、レンガとタイルでは接触面が均一にならずに斑な点で接触してしまうことを避けるべく、柔軟性のある滑り止めシートを間に挟んで重ねました。
果たして結果は上々で、これまでで一番良い結果が出たように感じますが、かといって劇的変化といえるものでもなく、心もち変わったなぁ…ぐらいの変化ではありました。

これまでにやってみた経過としては、まずカーペットに直接置いていたときに較べて、ステンレス製バットを置くと音にやや明晰さが加わります。次いで素焼きレンガに換えると一転して音がかなりこもってしまいこれは大きな変化で、カーペット以上のこもりだったことに驚きました。
逆に云えば、素焼きレンガはかなり強力な吸音効果があるようで、これは防音対策などで上手く使えば有効かもしれません。

これはまずいというわけで、レンガの上に再びステンレス製バットを置くと、とりあえず以前の明晰さは復活します。
さらにステンレス製バットをタイルに換えてみると、明晰さという点では似たようなものですが、強いて云うなら音に落ち着きと重心が加わり、響きの安定感が増しました。

音質そのものはスピーカーが変わったわけではないのでそれほど変化するわけでもないのは当然ですが、やはり土台がしっかりしたぶん、響きに腰がすわったというか、例えばピアノなどでは、音そのものもさることながら、音が出た後にふわっと漂うホールの残響などに明瞭さがでたように感じます。

人間とはおかしなもので、こういうことをせっせとやっていると、わずかなことでも自分の労力が加わっているぶん、それを報われたいという思いが判断を甘くするのか、なにやら変わったような気がしてくるもので、多少の贔屓目ではあるかもしれません。
そういう意味では気のせいかもしれませんが、ま、これぞまさしく誰に迷惑をかけるわけでもなく、自分だけが楽しんでいることなので、結果的に自分が良いと思えるなら、思えるだけやった甲斐があるというものです。

着手するまでは腰が重いのですが、やってみると結構楽しく、音質を手ずから調整するなんてことは、この自作スピーカー以前はまったく未経験の分野だったのですが、オーディオマニアの楽しみの一端を垣間見ることができたようでした。
もちろんマロニエ君がやっていることなんぞ、達人達から見れば幼稚園以下のレベルのことでしょうけれども、それでも自分なりにおもしろいものです。