テレビの衝撃映像物は嫌いではないので、ときどき録画して見るのですが、この手の番組では中国の映像が数多く採り上げられるのは毎度のことです。
最近見た番組(といっても録画してすぐ見ないので少し前の放送)では、そんな中でもとくに印象的な中国の衝撃映像があって、いずれも車に関するものでした。
ひとつは、あるカップルが車のショールームに行ったところ、その女性のほうが一台の車を気に入って「これ買って!買って!」と相手の男性におねだりを始めました。
しかし男性は「買わない」とあくまでも拒みますが、「どうしても欲しい」「ダメだ」「これが欲しい」「いやダメだ」と激しい押し問答が続きます。
すると興奮した女性はいきなり運転席に乗り込み、ドアを閉め、躊躇なくエンジンをかけました。
この想定外の行動にはさすがの男性とお店の店員はひどく慌てますが、二人の懸命な制止も聞かず、その女性はついに車を発進させました。断っておきますが、これは野外ではなく、あくまでショールーム内での話です。
数メートル走ったところで、ついにその男性も根負けしたのか、「わかった、買う!買うから車から降りて!」と必死に訴えて、ようやく女性は車を止め、ともかくこの場は事なきを得たというものでした。
その後、本当に買ったのかどうかはわかりませんが、中国女性のおねだりの仕方もすごいし、そもそもショールームに展示中の車にエンジンキーが付いているということにも驚きでした。
もうひとつは、ある街の交差点の監視カメラの映像で、信号停車しようとする一台の赤いスポーツカーに、となり車線から来た大型の黒いセダンがググッと幅寄せしたかと思ったら、たちまち二台は接触。すると赤い車はその場を逃れるように走り去りますが、黒い車もすぐ後に続きます。
しばらくすると、またさっきの赤い車が別方向から現れ、交差点を右折しようと停車中、そこへ黒い方が再びやってきて、今度は赤い車の側面をめがけて猛牛のように突進し、黒い車のフロントが赤い車の側面へ食い込むかたちでの激しいクラッシュとなりました。
すると、それぞれの車から人が降りてきて、黒い車のドライバーが、赤い車のドライバーを走って追いかけ、ついには画面上からいなくなり、交差点の真ん中にはぐちゃりと大破した二台の車が放置されることに。
ナレーションによると、なんとこの二人は父と息子で、親子げんかの挙げ句、赤い車で家を飛び出した息子を、怒り心頭の父親が別の車で追いかけ回し、その挙げ句に車ごと体当たりを繰り返して、最後に激突させたというのですから、そのすさまじさたるや、ただもう唖然とするばかり。
しかもこの車、赤い方はBMWのZ4、黒い方はベンツのSクラスという高級車同士なのですから、最低でも2台合わせて二千万円はする筈で、きっとこれは世に言う中国の富裕層の親子に違いありません。
しかも中国では、関税などの関係からか、日本で買うよりも車の値段はずっと高く、さらには登録などにも法外な費用がかかると云います。加えて国民の平均所得の低さ、とりわけ一般人の安い労働賃金、就職難など、GDP世界第二位という華やかさの陰で、この国が抱える貧困は深刻な社会問題にまでなっていると云われてます。そんな衆人環視の中で、こんなリッチなケンカを公道でするとは、道徳心、金銭感覚、危険意識、いずれの観点からみても日本ではちょっと考えられないことだと思いました。
「それが貧富の差というもの」といわれればそれまでですが、夥しい数の貧しい人民の不満と絶望が国中に充満し、中国政府はその爆発を最も恐れているといわれますが、そんな人々の苦しみをよそに、富裕層だけがこんな調子じゃ一般人の怒りは収まるはずはないと思ってしまう、まさに笑うに笑えない衝撃映像でした。