スピーカーの音質調整は、カーペット上に置いていた足の部分に、ステンレス製バット→素焼きレンガ→タイルと3種類を台座として使ってみたところ、素焼きレンガ+タイルというところで最も好ましい音となり、これをもって終わりとする予定でしたが、ひとつだけ思い出したことがありました。
それはこのシステムでは安い中国製デジタルアンプを使っているのですが、いかにデジタルとはいってもメーカーごとにいろいろあって、自室で使っているものは最もその標準的なモデルとされるものでした。一時期いい気になって何台か購入して持っているのに、これをあれこれ試して比較してみるということはしていなかったのです。
とくに深い理由はなく、ただ面倒臭いからやっていなかったわけで、そのあたりがやっぱりにわかマニアはダメだなあと自分の無精を恥じ入るばかり。
そこで、最も交換してみたいひとつのアンプを思い出しました。
それはLepaiというメーカーで、数ある中国製デジタルアンプの中でも、実力はあるものの、見栄えがイマイチで、なんとなく物置の中にしまったままにしていたものですが、それを引っ張り出しました。
このLepaiのアンプは、複数の業者によってアマゾンなどでも売られていますが、マロニエ君が買ったのは日本のある販売会社が自社仕様として独自のパーツを組み込ませるなど、特別にチューニングされたという製品で、見た目はまったく同じものですが、内容はずいぶん磨きがかけられているというもの。
この会社は一部のマニア間ではかなり高い評価を得ているようです。
さっそくにそれに繋いでみると、なんと、これまでのアンプとはまったく違ったパワフルな鳴り方をしはじめたのにはただびっくり!「そうか、まずはアンプを試してみるべきだったんだ」とこの時悟りましたが、ともかくこれでグッと力強い音が鳴り始めました。
ちなみにワット数が大きいというようなことはほとんどなく、やはり肝心のものは慎重に選ばなくてはいけないということのようです。
アンプでこうも違うのかと思い、久しぶりにネットを見てみると、そのお店から同じ製品のさらなる進化型というか、最終型のようなものが発売されていました。このお店の商品は、みんなが狙っているアイテムは入荷したときにすみやかに買っておかないと、悠長に構えているとすぐに売り切れとなり、次はいつになるかまったくわからないことが何度かあり、その経験からすぐに注文してしまいました。
こうして数日後に届いた最新型は、やはりダサい外観はまったく何一つ変化ナシで、うっかりすると新旧どっちやらわからなくなるので、用心のために小さなシールを貼り付けて区別します。
果たしてその音ですが、一年前に買ったものとは明らかに違っていて、力強さはそのままに、やや荒削りなところのあった音は俄然クリアになり、とても同じものとは思えない進化を遂げていました。
前のモデルでも、巷の評価では数十万もするアンプに負けないというような評判もあったぐらいでしたが、今回のものは、いっそう緻密でクオリティの高い音になっていて、その価格を考えると、なんでこんなことが可能なのか、ほとんど信じられません。
説明によれば、さらなる改良が施され、同型では過去最高の音質を達成できたと謳われていますが、まったくその通りでした。同じピアノでも調整次第で別物になるというのと同じことなんだと思いました。
よい音というものは、楽器であれオーディオであれ、要するに緻密な研究や調整の積み重ねの先にはじめて存在し得るものだということがわかったような気がしています。
コストパフォーマンスでこれを凌駕するアンプはたぶんどこにもないだろうと思います。