昔に比べて休日があまりに多いのは、ときとして有難味がなくなってしまいますが、多くの人はこの多休(造語)を本当に楽しんでいるのでしょうか…。
マロニエ君の子供のころは、学校はもちろん、会社やお役所など、土曜も休みではなく、つまり世の中全体が一週間のうち6日間を仕事や学校に費やすのが当たり前でした。
そのうえ祝日も今よりも少ないし、おまけに日曜と重なっても月曜への振り替えなどもありません。
週末といえば土曜のことで、日曜日というわずか一日の休みを大事に楽しく過ごしていた事がウソのように、最近は休み休みの連続で、週休二日が定着するようになった頃から社会の活気もだんだん失われたきたように感じてしまいます。
むかしの日本人は「働き蜂」とか「蟻のよう」などとさんざん揶揄されながらも、せっせと勤勉に働くことで国や社会を盛り立て、一方では仕事一辺倒だの余裕がないだのと非難の的にもなりました。
しかし、もともと日本人は欧米人のようにバカンスの習慣はないし、彼らとはしょせん遊びのケタが違います。よって長期休暇を心ゆくまで楽しむようにはできていない民族のようにも思えるのです。長い歴史を通じて民族の身体に染み込んだ習慣や感性は、一朝一夕に変更できるものではありません。
日本全体が一生懸命働くことが美徳とされていた時代のほうが、どうも日本人には合っていたし、同時に現代のような水面下での苛酷労働なども少なかったように思います。
そしてなにより、世の中がずっとほがらかで活き活きしていたようにも感じます。
今回の年末年始に至っては9連休という長大なものとなり、やっとそれが済んだかと思ったら、わずか一週間を挟んで、またしても3連休ですから、ここまでくるとさすがにウンザリです。
とりわけマロニエ君などは生来のナマケモノですから、本来は休みが多いことは嬉しいはずだし、仕事など少ない方が嬉しいのが本音です。しかし、ずっとやらないで済むものならそれも大歓迎ですが、もちろんそうもいきません。嫌々ながらやっている身にすれば、嫌なりにもリズムというものがあって、やっとこさ平日の流れに慣れてきたかと思うとすぐまた休みになり、そのたびになんとか乗ってきた調子は寸断され、また休み明けの怠さへリセットされてしまうのは気構えの上でも収まりが悪く、なんとかならないものかと思います。
とりわけ12月の半ばから1月の半ばまで見ると、特殊な職業の方は知りませんが、カレンダーの上では休みの日数のほうが多いという信じ難い状況で、これで景気回復だのアベノミクスだのといっても虚しいような気がします。
多くの企業なども、やっている仕事ははかどらず停滞して先に進まないので困るとか、この休みの多さがそもそも不景気の要因のひとつにもなっているというような話を聞いたことがありますが、いまさらながらそうだろうなぁ…と思います。
また収入面でも、遊ぶと働くでは出納は正反対ですから、いいかげん仕事のほうがいいと思われる方も実は多いのではないかと思います。
プライベートでも、昔とはちがって大家族は激減、大半は少ない家族構成であるばかりか、高齢者にいたるまで一人暮らしをしておられる方なども想像以上の数に及んでいると聞きますが、みなさんはいったいどんな風にしてこの多休の日々を過ごしておられるのでしょう…。
結局、この休みの多さも、社会の不健全化の一因になっているような気がします。