福岡には今年の春から、若い市長の肝いりでオープントップバスなるものが運行開始して、市内の要所や都市高速を走り回る昼夜3コースが設定されています。
その名の通りオープントップ、すなわち屋根の空いた2階建てバスで、乗客は爽快な外の風に触れつつ高い位置から下界を睥睨できるという楽しげな遊び目的のバスのようです。
マロニエ君もいつか乗ってみたいと思いつつ、まごまごしているうちに季節は温湿度の上がる時候に突入してしまい、ここしばらくはとても無理なので、また秋口にでもなったら乗ってみたいと思っています。
つい先日の午後、市内のけやき通りを車で走っているとこのオープントップバスに邂逅、しばらく併走することになり、後ろから横からと数分の間この珍しいバスを間近に観察することができました。
後部に乗降のための階段があり、座席はなるほどかなり高い位置に並んでいて、顔にけやき並木の枝葉が触れはしないかと思うほど高く見えました。まだ見慣れぬせいか、ちょっと異様な感じも覚えて、ずいぶん昔にハワイのアロハ航空の737が、飛行中に屋根が吹き飛んだにもかかわらず、そのまま無事に帰還したときの奇妙な姿を思い出してしまいました。
しかしそれよりも、もっと奇妙な感じを覚えたのは実はそのオープン部分でなく、バス全体の動きにありました。
マロニエ君の友人には大変なバスマニアがいて、彼につられてバスに興味を持つようになったもう一人というのもいて、彼らの会話をきいていると、まるでなんのことだかわからないような専門的なことを次々に言い合っています。
そこで聞いたのは、東京などにもオープントップバスというものはあるけれども、これは既存のバス車輌を改造することでオープン化されたものであるのに対し、西鉄が運行する福岡のそれは、はじめからオープントップバスとして製造された専用車輌だというのが大きなポイントのようです。
しかも注目すべきは操舵輪が前後に二つ連なっている点で、つまり左右合わせて4輪つのタイヤがハンドル操作に合わせて左右に動くというものです。
彼らに言わせるとここがポイントで、ベースはバスではなくトラックではないかという推論を抱いたようでした。それもただのトラックではなく、なんと競馬用の馬を運搬するためのトラックというのがあるのだそうで、それがこの4つの操舵輪をもつ車輌だというのです。つまりこれが福岡のオープントップバスのベースではないかというわけです。
そんなことを聞いた上で、今回マロニエ君が実物を見て感じたことは、バスといえばふつうは動きも鷹揚でゆったりした車体の揺れ方をするものですが、このオープントップバスはサスペンションが硬いのか、まるでスポーツカーのように路面状況に応じてその巨体が小刻みにピクピク揺れているのが目につきました。
さらにはこれだけの大型車輌にしては変に加速などもいいし、4つの操舵輪のせいなのか、ハンドリングも鋭く軽快な動きをしているのが肉眼にも明らかでした。けやき通りは上下4車線の道路ですが車線の幅が狭くて普通車でもわりに走りにくい道なのですが、このバスはカーブでもセンターラインを見事にトレースしながら難なくシャープに動いているのがわかります。
この動きを見ただけでも、このオープントップバスの正体がタダモノではないことがわかりました。
いよいよ興味は高まり、秋にはぜひ乗ってみたいもんだと思っています。
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