昨日の午後は、市内の小学校でピアノサークルの練習会がありました。
マロニエ君は定例会にはそこそこ顔を出していますが、練習会は二度目の参加で、記憶ではそれほどの人数ではなかったので、同じようなものだろうと思っていたら、ポツポツと人がやって来て、最終的にはそれなり(たぶん10人以上)の人数になって、これはこれでひとつの立派なイベントみたいでした。
練習会とは言ってみても、ピアノは1台で、弾くのは常に1人ですから、必然的にあとは定例会同様に人の演奏を聴いている形になりますが、それでも多少のおしゃべりなどは許されるので、やはりいつもよりはだいぶリラックスした雰囲気ではありました。
とは言っても自分の番になれば、どうしても人の目の前で自分一人が弾くということに変わりはないので、それなりの緊張が伴うのは言うまでもありません。
さて、マロニエ君の知人が最近このサークルに入会したのですが、昨年秋のショパンコンクールを聴きに行かれたときの資料やら写真やらをたっぷりと見せていただきました。
よくよく話を聞いてみると、このために長期の休みを取ってワルシャワに赴き、なんと一次から決勝まですべて、毎日8時間、実に3週間にわたってコンクールを舐め尽くされた由で、まさに審査員と同じ量、世界から集まったコンテスタントの演奏を聴いたという事ですから、いやはやもう開いた口が塞がりませんでした。
同行した奥さんには「一生のお願い」と拝み倒しての渡欧だったそうですが、お付き合いもここまで来れば生半可なことで出来ることではありませんね。ワルシャワでは連日朝からフィルハーモニアホールへと通い続け、時には日に10回も幻想ポロネーズを聴くこともあったとか。わずかな空き時間にはショパンの心臓が納められた教会だのショパンの像がある公園だのと、コンクールの合間もひたすらショパンな日々だったそうで、あっぱれという他に言葉が見つかりません。
もう一つはメンバーの方が最近行かれたという、東京は信濃町にある民音音楽博物館で、パンフレットを見せていただくとオールカラーの立派な冊子に、所蔵楽器の写真がずらりと紹介されていましたが、ピアノだけでも相当の台数が収蔵されているようで、歴史的価値の高いものが多々あるようでした。
現地では案内の人がそれぞれの楽器の時代に即した曲を演奏してくれるんだそうです。
マロニエ君が東京にいる頃にはもちろん存在しなかったおそらくは新しい音楽博物館で、そのうち上京する折があればぜひ行ったみたいものです。
練習会終了後は近くのコーヒーショップに移動してのお茶会となりましたが、そこでの話題は、もっぱらひとつのテーマに占拠された観がありました。
というのも、我らがリーダー殿には昨年末から素敵なお相手が出来たことは聞いていましたが、リーダー殿がここで語り始めた独特な語り口によるオノロケの連発は、お茶会に参加した全員を、元気と感嘆と爆笑の渦に巻き込みました。
そのあまりの可笑しさに時の経つのも忘れ、練習会よりもさらに長い時間、一同はこの愉快な話題に釘付けとなり、最近のように暗い話題ばかりが続く中で、久々に聞く、春爛漫の明るさに満ち溢れた話でした。
リーダー殿の一直線の自信に満ちたトークの数々には、否応なしに一同が沸き立ち、まるで我々の席だけがルネサンスの宗教画のように天からの光りに満たされているようで、いやはやつくづくと明るい話は人を幸せに快活にするもんだと思いました。
これだけでも出かけて行った甲斐があったというものです。
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