草戦争のその後です。
除草剤を散布した翌日などは、一向に変化らしきものは見当たらず、これは効果なしかと思っていたところ、それからさらに数日たったころから徐々に色が変わり始め、憎き雑草の勢いがみるみる衰えて行きました。
やはり効果はあったのです!
哀れ雑草軍団は4~5日で一気にやせ衰え、色も以前の憎々しいようなつやつやとした緑色が日ごとに褪色し、その後はすっかり茶色になっていきました。
この機を逃すまじとばかりに、除草剤を追加して、一気に庭の雑草の生える残り部分にまでふりまきました。
さらにそれから数日たった頃には、ほとんど緑色はなくなり、雑草の残骸だけが残っています。
梅雨明け直後のころは、庭用のサンダルで歩くのも、下手をすれば蛇など出て来そうなぐらい雑草の背丈も伸び、長靴が欲しくなるほどでしたが、それがうそのようになくなり、一面茶色の土地によろよろと草の死骸がのこっているだけとなりました。
さすがに化学薬品だけのことはあり、怖いといえば怖いのですが、以前のあの草の暴力的とでも言いたい猛威を思うと、もはやそれでもなんでもかまわないという気分です。
べつに野菜を作るわけでもなし、いまはただ勝利の美酒に酔っております。
やはり除草剤というのは大したもので、どんなにマロニエ君が青筋立てて草取りに血道をあげても、到底かなうものではないので、作戦の変更はまずは成功だったといえるでしょう。
ちょうど庭の草の色が変わってきたときに、NHKで男と女の…なんとかいう番組で、東海道四谷怪談をやっていていて、毒を盛られたお岩さんの顔が崩れだし、それを鏡で見て狂乱する歌舞伎のシーンがありましたが、しみじみと薬物の威力というものを感じ入っているところです。
変化がほぼ落ち着いたところで、伸びている草をざっと取り払ったところ、果たしてそこはうすい茶色の絨毯のようになり、ひとまず化学兵器投下作戦は完了のはこびとなりました。
『ただ恨めしきはマロニエ殿ぉ…』という勘三郎扮するお草さんの声が聞こえてきそうです。