どうしてこのピアノを?

ピアノのレッスンに来られた人に意外な質問を受けました。
唐突に「なぜこのピアノを買ったんですか?」と言われて、はじめは思いがけない問いに面食らいましたが、要するにマロニエ君が自分のピアノ購入に際してどういう点を評価したり、あるいは気に入ったりして、数あるピアノの中からこの一台に決したのかということを問われたようです。

この方は当ホームページをしばしば見てくださっているらしいので、マロニエ君がピアノに並々ならぬ興味を持っていることはもちろんご存じで、そんなこだわり屋が選んだピアノというからには、それなりの理由があるのだろうから、ひとつそれを聞いてやろうと思われたのでしょう。

ところがです、そんなに面と向かって聞かれてみると、咄嗟に明確な答ができるほどの理由もないことに、思わず自分でも意外な気がしました。
もちろん、気に入って、納得して買ったことには間違いありませんが、しかしそこに明瞭に人様に語ることができるほどの確乎とした理由らしい理由があるわけでもないということに、はじめて自分で気がついたわけです。

要は流れでした。
それまでサブピアノとして使っていた小型のディアパソン(170E)が、中音域のぼてっとした花びらのような音色などはとても気に入っていたものの、低音域には弦の長さに起因する克服できない限界を感じていたことが根底にありました。そこへ折良く小学生のいる知り合いの家族が、マンションなので小型グランドを探していたというタイミングに恵まれたことも大きかったと思います。

考えてみれば大きな買い物って、モノそのものの良否は当然としても、いろんな周囲の条件が整ったときに事が動くようですね。えてしてそういうものだと思います。

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