趣味道

知人の家に久しぶりにお邪魔しました。
この方もピアノがお好きで、趣味でスタインウェイをお持ちです。
以前はニューヨーク製のM型をお持ちで何度か弾かせていただいたことがありましたが、その後ハンブルクの0型に替えられたと聞いていました。
昨日、上手い具合についでができて、お宅に寄ってはじめてハンブルクを見せていただきました。

このピアノはいわゆるヴェンテージ・スタインウェイと呼ぶべきピアノで、製造年はなんと1918年!だそうです。
単純計算しても実に92年前のピアノということですが、キーにちょっとだけ触れてみても、とても元気の良いピアノという印象でした。
ケースの形状とかディテールのデザインが現在のものとはやや異なり、このピアノが90年以上も生きてきた時間の重みをじさせられました。
「どうぞ弾いてください」と言われても、なかなかよそのお宅でピアノを弾かせていただく勇気はありませんが、たぶんとても素敵な音楽を奏でるピアノだろうと思いました。

このお宅にはもう一台グランドピアノがあり、ほかにも電子ピアノが数台あるという凝りようです。

さらには、部屋には黒い大きな冷蔵庫みたいなものあがあって、なにかと思ったらワインセラーだそうで、ドアをあけてもらうと、上から下まで隙間なくびっしりと無数のワインが並んでおり、その壮観な眺めにはただもう驚きました。

そういえばこの方は、最近は模型飛行機にもハマっているとのことで、いやはや、趣味というのは実におかしな、大変なものだと思いました。
マロニエ君も人のことを言えた義理ではありませんが、それでも他者の趣味道を覗き見ると、自分のことは棚に上げて呆れかえってしまいます。

しかしながら、マニアという生き物は、門外漢からみれば実にばかばかしいことに熱中しているところに一番の意義と純粋さと、大げさにいえば生きる喜びみたいなものがあるのかもしれません。
こう結論づけて、自分自身をも肯定しようとしているのかもしれませんが。

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