猿芝居の効果

最近また新たに、有名ピアニストによる、大人のためのレッスン番組が始まったんですね。
つい先日、偶然見ましたが、あれは一体なんですか。

このピアニスト、いろんなウワサも多いようですが、メディアへの露出欲も旺盛なようで、きっとタレント性も十二分にあるものと相当に自覚しているんでしょう。
しかし最近の高性能な撮影機材とデジタル放送は、この人のすでにトウの立ったお顔を鮮明に映し出します。

それでもあくまでもカワイイぶった、しどけない物言いは却って気持ち悪くなりますね。

ピアノがぜんぜん弾けないという中年俳優を生徒役にひっぱってきて、そのピアニストがコケットリーな物言いや仕草を交えながら、いい大人を相手に、3才の童子をあやすようにねっとりと指導らしきことをしていました。
ふたりともわざとらしい演技の連発で、役者が芝居や映画で演技をするのは当たり前としても、ああいう両人のやりとりは、なんだかとってもやりきれない気分になりました。

音楽歴史上のピアノの代表的な作曲者の作品を、ゆびの動かない、楽譜も読めない初心者にもかならず弾けるよう、平易な音符に強引に編曲して、それで「本物気分」を味わわせようという、まことに浅ましき企画のようです。

そしてこの手の番組のお約束で、レッスンの合間合間には先生ピアニストの演奏風景が織り込まれますが、演奏中、必要以上にいちいち陶酔的な表情をしてみせるこの人は、見ているだけでむず痒くなってきます。
日本にも本当に力のある、本物のピアニストが何人もいるのに、メディアへ出てきて有名になるのは、結局こういう人なんですね。

何でも世事に詳しい知人いわく、「テレビの影響ってすごいから、あれを観てピアノを始める人が増える、すると楽譜や楽器が売れる」のだそうです。
ということは、あのピアニストのコンサートの動員力も増すというとこなんでしょうね。

今の世の中、すべてがこの仕組みで動いているようですね。
…うんざりです。

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