オーケストラの命綱

友人がたまたま目にしたらしく、10日ほど前の日経新聞の切り抜きをくれました。
そこに書いてあるのは、地方のオーケストラが資金不足に喘いでいるという記事でした。

プロオーケストラは団員と職員あわせて概ね100人近い人間を抱え、あるオーケストラを例にすると昨年168公演をおこなったそうですが、それでもコンサートの入場料収入だけでは運営費はまかなえないらしく、頼りは自治体から支給される補助金なのだそうです。

ところが、その補助金が国の(つまり民主党の)事業仕分けによって削減され、多くのオーケストラがまさに命綱を切られて、浮沈の瀬戸際にあるということでした。
日本オーケストラ連盟によると、加盟する31のプロオーケストラの大半が補助金に頼っているのが現状とのことですが、文化庁から各楽団に支給される補助金は昨年の事業仕分けで削減されているとか。

大阪の橋下知事に至っては、財政再建策の一環として、大阪のあるオーケストラへの補助金の大幅カットを表明し、来年度からは全廃するという極めて厳しいものだそうです。まあ、あの橋下さんがオーケストラに価値を持つとはとても思えませんが。

政権与党は、税金のムダ使いを洗い出して整理するのは至極当然の事であって、基本的にはどしどしやってほしいと思います。
しかし、そもそも文化芸術というものは、それがただちにお金になるという種類のものではなく、むしろ国や自治体が支えるべきものではないのかとも思います。地方のオーケストラなどが真っ先にその槍玉にあがるのは、切り捨てる側の文化意識や価値観にも大きく左右されるのではという気がしてしまいます。
音楽などは、見る角度によってはムダとしか映らないものかもしれませんが、文化とはほんらい金銭的価値とは違う次元で必要なものでもあるはずだと思います。しかし、スポーツなども本来の精神を逸脱して金銭と深く結びついた、汚れた世界に成り下がってしまって、賞金額でその人をランク付けするような時代ですから、やはり現在はなんでも金銭的収支が絶対視されるしかないのでしょうか。

官僚や公務員のあきれるような天下りなどには見直しが不徹底ないっぽうで、こういうことをあの痩せた短髪の女性が意気揚々と先頭に立ってやっているとしたら、世の中はまさに鶏ガラのように痩せこけてギスギスになってしまうようです。
そうはいっても、中には切り捨てられても仕方がないようなオーケストラもあるのかもしれませんから、適切な見極めはなにより大事だと思いますが。

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