すでにビジネス化?

チリの鉱山落盤事故の感動的な救出劇から一夜明けると、たちまち報道の内容が一変したのには開いた口が塞がりませんでした。

全員が無事に救出されたという事実も慶事として後押ししているのだろうとは思うのですが、一同はもはや大スターか英雄のように祭り上げられ、はやくもこの顛末を金銭やビジネスにからめて利用すべく話題は一気に生臭くシフトしていました。

まず作業員全員に支払われると思われるきわめて高額の賠償金の額をあれこれと予測したかと思うと、それとはまた別に、ほうぼうの家族は会社を相手取って精神的ダメージの賠償裁判の手続きに入るとか。

また、さっそくにも『33人』というタイトルの映画製作が決定し、すでに有名な監督がテント村などの撮影を開始したそうです。
さらには事故発生から救出に至るまでの内容を綴った手記の出版が計画されているとかで、こちらは専門家の試算によると、すでに160億もの印税を見込んでいる由!?
また生還した各作業員達にはさっそくテレビ出演のオファーなどがあり、この一回の出演料が彼らの年収をさえ上回るとか。

そればかりではありません。強いリーダーシップを発揮したという特定の人物には政界入りの話まで持ち上がっているそうで、これも驚きです。
まあこの点では、日本もおよそ政治とは無縁であるはずの柔道のママ選手がいきなり議員先生になったりしていますから、よそのことをいう資格はありませんけど。

また世界中の企業もこれを宣伝の好機と捉えて、アップル社は33人にiPadをプレゼントするとか、ある旅行社はやはり全員をエーゲ海の一週間周遊に招待するらしいし、外国の2つのサッカーチームが全員を試合に招待するなど、お祝いムードは結構ですけども、ちょっとおかしなことになってきているような気がします。

救出時に全員がかけていたサングラスは、高橋尚子選手も競技で使う有名メーカーの製品が無償提供したものらしいし、日本のスポーツ用品メーカーも脱臭下着なるものを提供したのだそうで、さっそくその商品の問い合わせなどがあるということでした。

そして、ニュースの解説員が最後に言ったことは尤もでした。
無事救出されたのは結構なことだったが、これを境にあの33人がまるで宝くじに当たって人生が狂った人のように、これからの人生を踏み外さないように願いたいものだというコメントをつけました。
まったく同感です。

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