昨日は所属するピアノサークルの定例会がありました。
定例会では各人が進み出てピアノを弾くわけですが、すでに何度も書いているようにマロニエ君は人前での演奏というのがなによりも苦手という、なんとも困った性分の持ち主です。
ときに、笑い事では済まされない精神的負担にまで達するので、今回は演奏参加はせず、見学者として定例会に出席しました。
いつもはピアノサークルの定例会の日は家を出るときからぐったりと気が重く、会場に入ると自分の順番が来るまで悲愴な思いで時を過ごし、いよいよその時が来ればその重圧は頂点に達し、そんな尋常ならざる状態の中で上手くもないピアノをべろべろと弾き、終わればドッと疲れがこみ上げました。
演奏と親睦を目的としたピアノサークルに入会してほぼ一年、嫌でも我慢して続けていればそのうち少しは慣れるかもしれないというかすかな見通しを立てていましたが、現実はそう甘いものではありませんでした。
何度場数を踏んでも、人前での演奏に「慣れ」というものがマロニエ君のもとには到来することは、どうやらこの先もないようです。
そういうわけで昨日ははじめから見学と決めていましたから、いつもよりは格段に気楽に家を出て、気楽に会場に入ることができ、人が弾いているのも気楽に聴くことができました。
定例会は滞りなく進み、3時間にわたる演奏は終了。それに引き続いて食事と懇親会となり、実に8時間以上をサークルの人達と楽しく過ごすことができたのは、いつもながらたいへん嬉しいことです。
新たな発見は、やはりピアノを弾く人をずっと見ていると、だんだんと自分も弾きたい欲求が湧き起こってくることでした。まあ、これは別段不思議なことでもなく、やはり元来ピアノが好きなので、ずっと人が弾いている場面を見ていると自分も弾きたいという本能が刺激されるのは自然なことだろうと思います。
だったらフリータイムというのがあり、そこでは誰でも自由に弾いていいわけですから、マロニエ君も弾いてみればいいのでしょうが、それはやはりできません。
思うに、人から至近距離でじっと見られるというのがどうしてもダメで、もしピアノの前にカーテンの一枚でもあればだいぶ違うだろうと思いますが、まさかそんなことはできるはずもありません。
そういうわけで、家に帰ったのが10時過ぎでしたが、それから約1時間ほど、定例会で聴いた曲などを自分の手で弾いてみると、ようやく気分も落ち着くことができました。
サークルには、人前で楽しく弾くことのできる人がたくさんいらっしゃいますが、うらやましいばかりです。