スター消滅

ショパンコンクールがついに終わったようですね。
パソコン画面で毎晩夜中に音楽に際限なく集中するのはとても疲れるので、あまり見ないようにはしていたのですが、それでも一日一回、チラチラ程度には見ていました。
実は二次の途中あたりからだったか、大雑把な印象として、こりゃあどうやら大物がいないなあという気がしてきていました。

むしろはじめの頃のほうが、みんな上手いもんだと感心していたのですが、日が進むに連れてだんだんと興味がなくなったといったら言い過ぎですが、わずかでも実体みたいなものが掴めてきて、惹きつけられるものは自分の中ではっきりと減退していきました。

結果については、マロニエ君は率直に言って納得できませんが、まあそれでも結果は結果ということなのでしょう。
優勝したロシアの女性は演奏もさることながら、優勝者に相応しいオーラというものがまるでなく、新たなスターが誕生したという感慨は得られません。
音楽的にも特段のなにかは感じないし、コンチェルトでもえらくたくさんミスタッチがあって、首を傾げるばかりです。

もちろん音楽はミスタッチ云々ではないと思いますし、そういうことをとやかく言うほうが愚かなことだと日ごろから思っていますが、しかしショパンコンクールの優勝を争うような人ともなれば、そのへんも当然問われるべき要素だと思います。

それから、今回はアジア勢がまったくふるわなかったのも不思議な気がします。
また、優勝者の使用ピアノがヤマハというのも史上初で、CFXはたしかに素晴らしいピアノとは思いますが、これもまたなにかちょっとよくわからないものを感じます。
この先、広告宣伝にこの事がこれでもかと濫用されるかと思うと、ああもう…今からうんざりします。

いずれにしろ、世の中は「大物不在の時代」を迎え、政治家を筆頭に、圧倒的な存在感を放つような超弩級の存在がなくなり、それはピアニストの世界も例外ではないということでしょう。

本来の純粋な審査結果からすれば、一位無しということが妥当だったのかもしれませんが、あるときからコンクールとしては何が何でも優勝者を出さなくてはいけないという認識に変わったらしく、たしかその第一号がユンディ・リだったと記憶しています。
ピアニスト全体の平均点は上がっているようですが、芸術界がほんとうに欲しいのは、平均点とは真逆の、一握りの光り輝く宝石のような数人だけなんですけどね。
…でもまあ、これが時勢というものなのでしょう。

スター消滅」への1件のフィードバック

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    ショパンコンクール自体のレベルが・・
    今はチャイコフスキー、エリザベートコンクールの方が演奏曲目、その他レベルが上に感じるのは
    私だけでしょうか?

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